思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

2021-01-01から1年間の記事一覧

名画小説

深水黎一郎 ☆☆☆★ 河出書房新社芸術探偵シリーズではあるが、ミステリ様相はほぼなく、倉坂鬼一郎なら『田舎の事件』、作者の作品なら『午前3時のサヨナラ・ゲーム』などのナンセンス・ホラーに近い。ショート・ショート集。てっきりどこかの連載だと思った…

ヤマタイカ(4)

☆☆☆☆時に交信しつつ、リアルタイムに神子に援護射撃を与えていた卑弥呼が、死ぬ、というのはミステリーではちょくちょくあるミスディレクションだが、ハードSF派の私からすると、ギャグにしか見えないけどなぁ(^^;)新開誠版『君の名は』とかね。 神子たちの…

『最後の戦い』☆☆凡庸なタイトルだが、リュック・ベッソンの初期作品。なんと白黒の無声映画なのだ。厳密にはセリフがないだけで、吐息や効果音は普通にある。セリフがなくてもわかるように、チャップリン的な、リアリティよりも、パントマイム的なオーバー…

『ターミネーター』☆☆☆★ 30年以上前にテレビで観て以来かもしれない。構成とストーリーがめっちゃ強固なので、ほとんど記憶通りだった。 また、『ゼイラム』がこれをまんまベースにしている事、『ターミネーター2』もまたクライマックスのタンクローリー…

パッセンジャーズ

☆☆☆★めちゃ紛らわしいが、『パッセンジャー』とは別物。 本作では、飛行機事故の被害者のトラウマをケアする精神科医アン・ハサウェイが、奇妙な男の出現や、事故の謎と対面することになる。 精神科医が、カウンセラーとしと、クライエントと恋人関係になる…

三体2(下)

☆☆☆☆三体艦隊が太陽系に迫る。物語るは主役級が冬眠を経て、テクノロジーも進歩、宇宙艦隊も完成する。 がぜんスケールアップし、もはや中国製とか全く関係ない、世界的、地球的スケールで展開する。 水滴型の無人兵器の一筆書き攻撃が白眉。だがこれ、小説…

『水とはなにか』上平恒 ☆☆☆☆ 講談社ブルーバックス「気体分子は1秒間に数百メートルの速度で動いている(略)分子はお互いにまったくでたらめな方向に運動しているので、ほんのちょっと動くとする他の分子と衝突して進路を変える」「クラスター水は科学的…

『モアベストオブFSS』☆☆☆★『ファイブスター物語』のファンである業界人たちが、好きなキャラ、メカ(MHのみならず、戦車、果てはバスまで)、ドラゴン、小物、靴までを抜き出した、一筋縄ではいかないファンブック。もちろんトイズプレスによる公式。キャラ…

『魔物ハンター妖子』宮尾岳 ☆☆☆ 少年画報社OVAは1話だけレンタルで観たと思う。それとは違う内容だった気がする。うろ覚えだけど。 平成8年に描かれたものということで、OVAが終了してから描かれたもののようだ。そもそも、OVAが90年から95年にかけて…

海外特派員

☆☆★第二次世界大戦前の39年、アメリカの新聞社のイギリス特派員が、陰謀の現場を目撃する。 平和団体の会長の娘とのロマンスと、陰謀を追う狭間での葛藤と、そして戦争の勃発を阻止できるのか? どこまで史実に基づくものかよく分からないが、前半はよくあ…

ランボー ラスト・ブラッド

☆☆☆★『ランボー 』シリーズは、30年前くらいにテレビで観ていると思うのだが、記憶がなく、『最後の戦場』だけはソフトも持っているくらい好きな映画、というのが私のスタンス。なので、3までの内容については知らない、という前提で書きます(^_^;) 本作…

ワールドエンド

☆☆☆☆細部までピッキピキにピントが合った(ように感じる)シャープな映像が魅力の、近年のロシア映画だが、本作は、映像だけでいうと、そこまでのものではなかった。 テーマも、最近のロシア映画にちょくちょくある、侵略SF。 まず、ロシアのモスクワ付近の…

三体2(上)

☆☆☆☆これまでのは導入で、ようやく本編、という感じ。400年後に襲来する三体艦隊への対抗策が、国連を中心にした、全世界レベルで行われてゆく。中国SFとしての特徴は、中国独自に宇宙戦艦を作ることと、4人の面壁者のうち、キーとなる1人が中国人であるこ…

ヴァイレット・エヴァーガーデン 特別編集版

☆☆★テレビシリーズは7話あたりから観たが、イマイチだった。改めて観たら、評価が変わるかな……と思った。世間の評価が高すぎるから。 でも、やっぱり同じだった。 まず、作画のクオリティについては言うことなし。完全に映画レベルで、これがテレビシリー…

ひとまず、信じない

押井守 ☆☆☆☆ 中公新書ラクレ2017年刊行。人生論というか、生き方エッセイ。 タイトルの直接の意味は、ネットの情報(マスコミと拡大解釈してもいいかもしれない)は、とりあえず信じない。ネットで調べる価値があるのは、それに関する書籍の題名調べること…

バイロケーション

法条遥 ☆☆☆☆ 角川ホラー文庫いわゆるドッペルゲンガーとは違うらしい、本作のバイロケーションの設定は、独自のものかと思ったが、巻末にあるホラー大賞選考評によると、用語じたいは既存のものらしい。 ドッペルゲンガーのように単に目の前に現れるだけで…

『わざわざゾンビを殺す人間なんていない』小林泰三 ☆☆☆☆ 二見ホラー・ミステリ文庫もはやSFミステリの中でも、ゾンビ物、という1ジャンルを形成していると言っても過言ではのか。『生ける屍の死』を筆頭に、『屍人荘の殺人』などが記憶に新しい。 本作では…

『重要証人 ウイグルの強制収容所を逃れて』 サイラグル・サウトバイ&アレクサンドラ・カヴェーリウス著/秋山勝訳 ☆☆☆☆ 草思社中共のいう新疆ウイグル自治区、つまりは中共が東トルキスタンを侵略した土地に生まれたカザフ人の自伝。 一旦は強制収容所で中…

『新・男はつらいよ』☆☆ 競馬で大当たりした寅さんが、おじさん夫婦にハワイ旅行をプレゼントするが、旅行会社の社長に金を持ち逃げされたことが旅行前日に発覚。旅行に行ったフリをすることに。それがバレた後は、実家の二階に居候することになった幼稚園の…

『シオリノインム』☆★ いわゆるピンク映画というのだろうか。祖母の家に一人暮らしすることになったシオリだが、夜な夜な誰か(何か)に犯される、いわゆる淫夢に悩まされる。だんだん頻繁になり、ついには起きている間にも・・・というお話。 犯されるとは…

『ゴジラVSビオランテ』☆☆☆☆ 4Kを2Kにコンバートしたもの。DVDであっても、大画面テレビで見るとボケて見えるので、こういうケーブル放送はありがたい。 ストーリー(脚本)『は何度見ても良くできている。『シン・ゴジラ』クオリティでリメイクしてほしい…

『逆説の日本史(26)』井沢元彦 ☆☆☆☆ 小学館日露戦争と、日本の転落への転機となった日々焼討事件について。後者は、売らんがために大衆にポーツマス条約が不平等だと煽ったマスゴミによって民衆が正論を載せていた国民新聞を襲撃した事件。 また、日露戦争で…

岬の兄妹

☆☆★宇多丸師匠が絶賛していたので、それほどではなさそうだとは予想しつつも、見てみた。 本作は、要するに、ジャンル映画として乱暴な括り方をしてしまえば、両親もいない、仕事もなくした足が悪い兄が、生活の為に白痴の妹に売春させる、というだけの話。…

デューン 追記

原作の印象は政治権力争いと陰謀劇なのだから、『スターウォーズ』プリークェルみたいにしたほうが良かったと思うのだが。要するに、ビジュアル的に派手にして、テンポよく展開させるのだ。

『ザ・クロッシング2』☆☆★ ジョン・ウー監督作品。舞台は1949年の台湾。金城武、長澤まさみが出演、音楽は岩代太郎と言うことで、日中台の3カ国合作かと思いきや、中国映画である。ちなみに原題の英語タイトルそのままで、中国語の方は『太平輪 彼岸』…

『ビルとテッドの地獄旅行』☆☆☆★ 以前に高橋ヨシキ氏がメディアに出ていた時に、何かの関連で出てきたもの。地獄に落ちる時間が長すぎて遊び出す、と言うくだりだったかな? てっきり単発のバカ映画だと思っていたのだが、見始めると、どうもおかしい。調べ…

『ラストムービー』☆★ ケーブルテレビの概説だけ読むと面白そうだったけど、観てみると色んな意味で「なんじゃこりゃ?!」な映画だった。 映画だけ観た感想としては、映画も知らないような僻地で映画を撮影したら、現地の人が虚構(ごっこ)を本気にしてし…

『デューン/砂の惑星』☆☆ そこまで期待していなかったが、ドゥニ・ベルヌーヴ監督だし、SFファンからは絶賛されているので、もしかして・・・と行ったが、ダメだった。開始早々からずっと睡魔と戦いながら、実際にマイクロスリープも何回かやってると思う。…

『十三人の刺客』☆☆☆☆ リメイク版らしいが、そちらも原作(?)も知らない。最初こそ胸糞だが、最初の20分は、悪役がどれだけひどいやつか、ぶっ殺しても当然、というやつかを描くため。要するに『北斗の拳』の序盤のそれと同様。それをすぎれば、エンタメ…

火星人の方法

『火星人の方法』アイザック・アシモフ ☆☆☆★ ハヤカワ文庫SF『火星人の方法』☆☆☆☆ 変な邦題だなぁと思ったら、本文中ではちゃんと「火星人のやり方」となっている。ストーリーは、火星植民が始まれば、多段式ロケットを使用するため、宇宙ロケットから増槽…