思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ヤマタイカ(4)

☆☆☆☆

時に交信しつつ、リアルタイムに神子に援護射撃を与えていた卑弥呼が、死ぬ、というのはミステリーではちょくちょくあるミスディレクションだが、ハードSF派の私からすると、ギャグにしか見えないけどなぁ(^^;)新開誠版『君の名は』とかね。
神子たちの超巨大銅鐸・オモイカネに対して、広目は鉄を用いて黒い超巨大銅鐸・オモイクロガネを作る。これ、由緒正しき子供向けヒーローものの悪者の所業だよなぁ。ブラック銅鐸って。
それが空中で激突するのだが、そうなると、とんでもなく大音量の重低音の振動波で周囲の物が破壊されたり、人体も問題が起きそうなのだが、そのへんは一切触れられていない。星野之宣はSFのひとなのに、考えが及ばなかったのだろうか? 思考が伝奇(ファンタジー)モードになっていたのか?
大和の進路が、小笠原南部から東京に北上するとか、大和に神子たちが乗り込んで、テレビカメラに映ったことで攻撃できなくなるとか、まんま『沈黙の艦隊』である。このへんまで来ると、完全に元ネタと言っても過言ではあるまい。
日本各地の火山が噴火するビジュアルは樋口版『日本沈没』だが、このへんはだれが作っても帰結する状況だと思う。
肝心の、日本国民が踊り狂う、ということに対する説得性は本巻を読み終えた時点ではまだない(^^;)
作者もそのへんは折り込み済みなのか、情熱的な縄文系に対して、冷静な弥生(大陸・渡来)系の日本人という対立軸を用意していた。