思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

独ソ戦

☆☆☆☆ 岩波新書執筆の背景はあとがきに詳しいが、独ソ戦を戦史だけでなく、世界史、政治、経済、思想的に幅広く概説したもの。 入門書だからといって、いわゆる図解雑学シリーズのような浅いものではなく、必要十分な内容。唯一の不満は、ドイツもソ連も、非…

『科学で見なおす 体にいい水・おいしい水』岡崎稔+鈴木宏明 ☆☆☆★ 技報堂出版「水を電気分解すると(略)プラス電極側に塩素や炭酸などのマイナスイオン(引用者注:陰イオン)が引き寄せられ、マイナスの電極側には、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム…

機動模型超級技術指南

林哲平 ☆☆☆★ ホビージャパン季刊誌(?)『ガンダムフォワード』の連載をまとめたもの。通常の雑誌作例の制限をとっぱらった作り込み、というふれこみだが、毎号載っているので、締め切りとかがなく、作り込んだ作品が完成したら掲載している不定期コーナー…

地球温暖化のファクトフルネス

杉山大志 ☆☆☆★地球温暖化に対する反証、というより、地球温暖化じたいがフェイク(こうは書いていないが、白人たちによる21世紀の世界支配戦略)であることを、データを列挙して示したもの。 本書を見れば、マスコミで無条件的に前提として言われることの…

ランボー

☆☆☆小学、中学時代にテレビで観たような気もするし、観てないような気もする。今回、改めてささきいさお吹き替え版を視聴。 ながら見をしてたので、より顕著だったのだが、ランボー、極端にセリフが少ない。ほとんどうなり声ばかり(^^;) 内容は『スマホを落…

ヤマタイカ(3)

☆☆☆★内容はすごいんだけど、絵柄としてはちとダサいのが惜しいよなぁ……。直接には背景の絵そのもので見せる、文字通り世界観じたいを構築するタイプの作家、とでも言えるだろうか。連載は88年とかなので、時代的にしょうがないのかもしれないが。 大仏が動…

名画小説

深水黎一郎 ☆☆☆★ 河出書房新社芸術探偵シリーズではあるが、ミステリ様相はほぼなく、倉坂鬼一郎なら『田舎の事件』、作者の作品なら『午前3時のサヨナラ・ゲーム』などのナンセンス・ホラーに近い。ショート・ショート集。てっきりどこかの連載だと思った…

ヤマタイカ(4)

☆☆☆☆時に交信しつつ、リアルタイムに神子に援護射撃を与えていた卑弥呼が、死ぬ、というのはミステリーではちょくちょくあるミスディレクションだが、ハードSF派の私からすると、ギャグにしか見えないけどなぁ(^^;)新開誠版『君の名は』とかね。 神子たちの…

『最後の戦い』☆☆凡庸なタイトルだが、リュック・ベッソンの初期作品。なんと白黒の無声映画なのだ。厳密にはセリフがないだけで、吐息や効果音は普通にある。セリフがなくてもわかるように、チャップリン的な、リアリティよりも、パントマイム的なオーバー…

『ターミネーター』☆☆☆★ 30年以上前にテレビで観て以来かもしれない。構成とストーリーがめっちゃ強固なので、ほとんど記憶通りだった。 また、『ゼイラム』がこれをまんまベースにしている事、『ターミネーター2』もまたクライマックスのタンクローリー…

パッセンジャーズ

☆☆☆★めちゃ紛らわしいが、『パッセンジャー』とは別物。 本作では、飛行機事故の被害者のトラウマをケアする精神科医アン・ハサウェイが、奇妙な男の出現や、事故の謎と対面することになる。 精神科医が、カウンセラーとしと、クライエントと恋人関係になる…

三体2(下)

☆☆☆☆三体艦隊が太陽系に迫る。物語るは主役級が冬眠を経て、テクノロジーも進歩、宇宙艦隊も完成する。 がぜんスケールアップし、もはや中国製とか全く関係ない、世界的、地球的スケールで展開する。 水滴型の無人兵器の一筆書き攻撃が白眉。だがこれ、小説…

『水とはなにか』上平恒 ☆☆☆☆ 講談社ブルーバックス「気体分子は1秒間に数百メートルの速度で動いている(略)分子はお互いにまったくでたらめな方向に運動しているので、ほんのちょっと動くとする他の分子と衝突して進路を変える」「クラスター水は科学的…

『モアベストオブFSS』☆☆☆★『ファイブスター物語』のファンである業界人たちが、好きなキャラ、メカ(MHのみならず、戦車、果てはバスまで)、ドラゴン、小物、靴までを抜き出した、一筋縄ではいかないファンブック。もちろんトイズプレスによる公式。キャラ…

『魔物ハンター妖子』宮尾岳 ☆☆☆ 少年画報社OVAは1話だけレンタルで観たと思う。それとは違う内容だった気がする。うろ覚えだけど。 平成8年に描かれたものということで、OVAが終了してから描かれたもののようだ。そもそも、OVAが90年から95年にかけて…

海外特派員

☆☆★第二次世界大戦前の39年、アメリカの新聞社のイギリス特派員が、陰謀の現場を目撃する。 平和団体の会長の娘とのロマンスと、陰謀を追う狭間での葛藤と、そして戦争の勃発を阻止できるのか? どこまで史実に基づくものかよく分からないが、前半はよくあ…

ランボー ラスト・ブラッド

☆☆☆★『ランボー 』シリーズは、30年前くらいにテレビで観ていると思うのだが、記憶がなく、『最後の戦場』だけはソフトも持っているくらい好きな映画、というのが私のスタンス。なので、3までの内容については知らない、という前提で書きます(^_^;) 本作…

ワールドエンド

☆☆☆☆細部までピッキピキにピントが合った(ように感じる)シャープな映像が魅力の、近年のロシア映画だが、本作は、映像だけでいうと、そこまでのものではなかった。 テーマも、最近のロシア映画にちょくちょくある、侵略SF。 まず、ロシアのモスクワ付近の…

三体2(上)

☆☆☆☆これまでのは導入で、ようやく本編、という感じ。400年後に襲来する三体艦隊への対抗策が、国連を中心にした、全世界レベルで行われてゆく。中国SFとしての特徴は、中国独自に宇宙戦艦を作ることと、4人の面壁者のうち、キーとなる1人が中国人であるこ…

ヴァイレット・エヴァーガーデン 特別編集版

☆☆★テレビシリーズは7話あたりから観たが、イマイチだった。改めて観たら、評価が変わるかな……と思った。世間の評価が高すぎるから。 でも、やっぱり同じだった。 まず、作画のクオリティについては言うことなし。完全に映画レベルで、これがテレビシリー…

ひとまず、信じない

押井守 ☆☆☆☆ 中公新書ラクレ2017年刊行。人生論というか、生き方エッセイ。 タイトルの直接の意味は、ネットの情報(マスコミと拡大解釈してもいいかもしれない)は、とりあえず信じない。ネットで調べる価値があるのは、それに関する書籍の題名調べること…

バイロケーション

法条遥 ☆☆☆☆ 角川ホラー文庫いわゆるドッペルゲンガーとは違うらしい、本作のバイロケーションの設定は、独自のものかと思ったが、巻末にあるホラー大賞選考評によると、用語じたいは既存のものらしい。 ドッペルゲンガーのように単に目の前に現れるだけで…

『わざわざゾンビを殺す人間なんていない』小林泰三 ☆☆☆☆ 二見ホラー・ミステリ文庫もはやSFミステリの中でも、ゾンビ物、という1ジャンルを形成していると言っても過言ではのか。『生ける屍の死』を筆頭に、『屍人荘の殺人』などが記憶に新しい。 本作では…

『重要証人 ウイグルの強制収容所を逃れて』 サイラグル・サウトバイ&アレクサンドラ・カヴェーリウス著/秋山勝訳 ☆☆☆☆ 草思社中共のいう新疆ウイグル自治区、つまりは中共が東トルキスタンを侵略した土地に生まれたカザフ人の自伝。 一旦は強制収容所で中…