思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

2013-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『QED ホームズの真実』 ☆☆☆ 講談社ノベルス『ベイカー街の問題』に続くホームズもの。すっかり忘れているが、登場人物も続投で、続編と言って過言ではない。(このシリーズ、この2作だけ明らかに異質なので、本来は別シリーズでやるべきだった) 作中で…

「毎日、遅くまで残業している人は、限定的で外界から遮断された生活を送ることになります。外界から遮断された人がいくら机上で考えたところで、現在顧客が求めているモノに気づくことはできません。」「今後のため、あるいは今の仕事をよりよくするために…

『めざまし塵劫記』西田知己 ☆☆★ 東洋書店『塵劫記』といえば江戸時代の有名な和算問題集だが、本書はそれに代表される算術指南書を通して、江戸時代の文化を紹介したもの。期待と異なり、計算問題そのものはない(落語を鑑賞する手助けにもなるのが有り難い…

『夢違』恩田陸 ☆☆☆★ 角川書店読んでいるその作品がミステリなのか、SFなのか、ホラーなのか、はたまたファンタジーなのか、読み終えるまで全く余談を許さない作家、というのはこの人と山田正紀くらいではないだろうか(少なくとも代表二人であることは間違…

「実際には大量の資料をすべて熟読し、疑問点や自分の意見を整理してから会議に臨む人など、残念ながらほとんどいない。だから、「その場ですべて1から説明する」のも、「すべての資料を事前配布する」のどちらも安易なやり方だ。 つまり、どの資料(情報)…

『浜村渚の計算ノート 3と1/2さつめ ふえるま島の最終定理』青柳碧人 ☆☆☆★ 講談社文庫『数学ガール』とはやみねかおるのミステリを合わせたような本格ライトノベルミステリ。 数学が教育から消されたり、数学愛好家テロ組織、そして女子中学生の数学フェチと…

『シリコンとシリコーン』 ☆☆☆★ 日刊工業新聞社「シリコンは英語で書くとSiliconで、ケイ素(Si)という(略)元素を指します。 一方、シリコーンは英語で書くとSiliconeであり、別名「ケイ素樹脂」、「シリコーン樹脂」と呼ばれる合成樹脂のことで、ケイ石…

『“結果を出している”上司が、密かにやっていること 「残念な部下」を戦力にする技術』内海正人 ☆☆☆ KKベストセラーズ章題より「部下との接し方」「仕事の任せ方」「褒め方と叱り方」「仕事の始め方と終わらせ方」「部下から学べ」「自分が変われば部下も変…

『盤上の夜』 ☆☆☆★ 東京創元社囲碁、チェッカー、麻雀など、テーブルゲームをテーマにした連作短編集。 いちおう創元SF大賞の山田正紀賞受賞となっているが、どうみてもミステリの範疇。島田荘司が編んだ『21世紀本格』に収められるのが最もふさわしいような…

『ロジャー・アクロイドはなぜ殺される? 言語と運命の社会学』内田隆三 ☆☆☆★ 岩波書店クリスティーのミステリ『アクロイド殺し』の解題なのだが、西欧の古典の引用と解説が過剰にあるなど、ミステリ解説書というより副題の通りの学術論文、という趣である。…

『皆勤の徒』酉島伝法 ☆☆☆★ 東京創元社星を3つまでは勢いよくつけられるものの、4つめとなると考え込んでしまう。 一見、有機的サイバーパンクというか、小林泰三か田中啓史が書きそうなグロSF。 読んでいれば、背後にあるハードSF設定が少しずつ明かされ…

『アリス殺し』小林泰三 ☆☆☆☆ 東京創元社この地球と『不思議の国のアリス』の世界で起こる連続殺人事件を描く。 設定だけ見れば辻真先『アリスの国の殺人』を思わせるが、片方で死んだキャラは片方の世界でも似たような死に方を迎える、そして誰が誰に対応し…