思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『ザ・クロッシング2』☆☆★
ジョン・ウー監督作品。舞台は1949年の台湾。金城武長澤まさみが出演、音楽は岩代太郎と言うことで、日中台の3カ国合作かと思いきや、中国映画である。ちなみに原題の英語タイトルそのままで、中国語の方は『太平輪 彼岸』となっていた。ってことはさしずめパート1は『此岸』かな?
それは内容を見てみれば一目瞭然、日本が敗戦後に、台湾の人たちが「日本の統治下で日本名を拒否した」「俺たちは中国人だ!」と叫ぶあたりから、中共プロパガンダ映画であることははっきりする。ただ、共産党刈りとして連行、処刑される人々を描いているあたり、多少の歴史的事実を混ぜる引目はあるのかも。日本(軍)が直接的に無法や虐待を行うシーンはないしね。
ジョン・ウーチャン・ツィイーなので、アクション要素はあるのかもと期待したが、完全に『太陽の子』的な、戦争や時代に引き裂かれた人間たちのドラマが主眼。その象徴として、太平輪号の沈没を用いている。どうやらこれは事実らしい。
はっきり言って冒頭の10分と沈没前後以外は早送りです(^_^;)
沈没シーンは、『タイタニック』の丸パクリと言っていい。ミニチュアではなく、CGがリアルに見えるようになってからの映画の金字塔と言っていい作品なので、船の沈没を扱う映画では、どうしたって似るのは仕方ないところもあるが、そんなレベルではない。太平輪号そのものは真っ二つにはならないのだが、氷山ではなく激突した船の方が真っ二つになり、真っ二つ表現はそちらに分けていると言うご丁寧さ。
なぜ本作だけで2時間以上あるのに、この前に2時間も描く内容があるのか不思議だが、人間の大河ドラマがメインであり、沈没は文字通りそれらの人間関係が引き裂かれる象徴としてのクライマックスだと考えるしかあるまい。
ま、少なくとも日本人が見る必要はない映画かな。

2015 中国