思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『水とはなにか』上平恒
☆☆☆☆
講談社ブルーバックス

「気体分子は1秒間に数百メートルの速度で動いている(略)分子はお互いにまったくでたらめな方向に運動しているので、ほんのちょっと動くとする他の分子と衝突して進路を変える」

クラスター水は科学的な概観を装って消費者をごまかしている擬似科学の一部である」
そう言えばそんなの聞いたことあるかも・・・と言うクラスター水。マイナスイオンとか、プラズマクラスターとか、類似商法は後を絶たないが・・・。ちなみに陽イオンはカチオン、マイナスイオンと呼ばれている陰イオンは学術的にはアニオンというのが正しい。

麻酔のメカニズムは分かっていない、というのを読んだことがあったが、本書にはちゃんと書いてある
「ナトリウムイオンが細胞外から内部に流入すると神経の興奮が起こる。
 細胞に不活性気体を作用させると、この分子は疎水性であるから(略)脂質分子間やチャンネル蛋白質と脂質分子との間に溶ける。そのため細胞膜全体が固くなり、チャンネルが開くのを妨げ、ナトリウムイオンが流入できなくなり、麻酔が起こる。」

「水道水の味覚と温度の関係をしらべ(略)ると、約70度Cと13度Cの水がいちばんうまく感じ、35〜40度Cで特にまずく感じるということである。」

「細胞内の氷点をしらべた結果によると、零下10度Cと零下80度Cで凍る2種類の水が存在する。(略)零下80度Cで凍る水は、細胞内の蛋白質その他の生体高分子に直接結合している水であり、零下10度Cで凍る水は細胞質の残りの水である。強く束縛されていて、きちんと配列している水ほど凍りにくい。」