思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

2013-01-01から1年間の記事一覧

『ゼロ・グラビティ』 ☆☆原題は『GRAVITY』で、こちらのほうが、ラストにふさわしい。何故改悪的邦題のしたのかなあ…。確かに99パーセントは無重量で展開するのだが。 SFファンにも評判がいいようだし、大いに期待したのだが、がっかりした。 確かに映像表現…

『永遠の殺人者』 ☆☆☆☆ほんわかしたカバーイラストに、おんぶ探偵なる副題。これはいくら本格派の小島正樹とはいえやっちまった…とは言わないまでも、今回は気を抜けるライトミステリーだろう、貫井徳郎で言えば『悪徳たちは千里を走る』みたいな感じかと思…

『祝福王(1)』たかもちげん ☆☆★呉智英絶賛、宮崎哲弥おすすめのマンガということで読んでみる。 内容的には貫井徳郎『灰色の虹』と同じく、新興宗教が出来る話(あくまでも1巻の時点で)。 B級漫画雑誌調というか、絵がヘタなのが気になるが、物語じたい…

『みずは無間』 ☆☆☆☆ 早川書房SF新人賞ということだが、スケールの大きなハードSFだ。 太陽系外探査機に人格コピーされた主人公が、何万年、何十光年のオーダーで旅をする間に、次々に出会う知性体と、過去の記憶(カノジョの桎梏)が描かれる。 ステープル…

『悪中論』 ☆☆☆★「トリクルダウン理論とは、「富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が浸透(トリクルダウン)する」という経済理論です。しかしこの理論は、レーガン大統領による富裕層減税を正当化するために考え出された詭弁であり、経済学的な裏付けが…

『世界征服は可能か?』岡田斗司夫 ☆☆ ちくまプリマー新書見るからに薄っぺらで内容のない本だろうとは思っていたが、やっぱりそうだった。 『空想科学読本』と同じ路線と言える。 ま、『仮面ライダー』のショッカー的な世界制服が無理なのは言うまでもなく…

動かない部下を動かす技術桐岡 隆澄 日本経済新聞出版社 2012-10-26「もう一つ上のことができたときにはほめていたんでしょうけれど、当たり前のことを当たり前のようにやったことをほめる。」「「部下の健康状態を気にして声をかける」「部下が何を思って仕…

『「坂の上の雲」では分からない日露戦争陸戦』 ☆☆☆★要するに『坂の上の雲』では児玉源太郎や参謀たちの作戦のおかげで勝利できたように書かれていたことは全て逆である、という内容。改めて言われてみればなんてことはない、大東亜戦争のころと同じ状況であ…

「自分の失敗、そして部下の失敗を思い起こしてください。原因として「独りよがり、思い込み、勝手な決めつけ」がなかったでしょうか。その原因がすべて、「相談がなかった」という事実に置き換えることができます。」「ネット世代の若者を見るにつけ、人間…

『明石工作』稲葉千晴 ☆☆★論文的な感じで、ちょっと堅苦しいかな…。 日露戦争の裏側で、ロシア国外にいるロシアの革命勢力(ノルウェー、フィンランドなど)に資金援助して情報を得たり、銃弾購入資金にしたりしていたのがその活動内容。その費用は数十億円…

『岸辺露伴は動かない』 ☆☆☆★『ルーブルへ行く』以外の露伴ものを集めたもの(言うまでもなく本編のエピソードは除く)。本書中、「懺悔室」のみが『岸辺露伴は動かない』というタイトルで『死刑執行中脱獄進行中』に収められていた。 どれも上述の短篇集以…

『「できない人」の育て方 辞めさせ方』谷所健一郎(C&R研究所)「「できる人」に育てるためには、社内の人間関係を良好に保ち、人を育てる大切さを全社員が共有して持たなければならない。」「仕事は、達成したときの満足感、充実感が、次の仕事への意欲…

『「超ネット社外」で絶対成功する脳と心のつくり方』苫米地英人「グーグルが中国に展開したとき、中国によるコンピュータ・ネットワーク上の検閲が問題視されましたが、私から言わせれば「中国の方がまだ良心的」です。中国は検閲をしていますが、グーグル…

『メックタイタン ガジェット 虐殺機イクシアント』秋田禎信 ☆☆☆★ 富士見書房小笠原智史のキャラ&メカデザイン&イラストが見どころ。でも、メカやパイロットスーツのデザインは柳瀬敬太っぽいけど…。 基本はリアルロボットものだが、戦術的にはともかく、S…

『洗脳広告代理店 電通』苫米地英人 ☆☆☆★ サイゾー電通はその歴史的経緯からしてGHQの指揮下にあった。それが現在は広告主、メディア、権力の三つ(アメリカも合わせると4つ)を牛耳る巨大機関となっている。これはもう、日本の影の支配者と言って過言では…

『シュークリーム・パニック 生チョコレート』倉知淳 ☆☆★ 講談社ノベルス何なんでしょ…。表題作はないし、連作でもないし、シュークリームが出てくるわけでもない。 作者は猫丸先輩シリーズで本格短編には定評があるが、本書はラノベと言えなくもないライト…

『八王子七色面妖館不可能殺人』倉坂鬼一郎 ☆☆☆★毎年恒例のバカミス。 毎回、これ以上の無駄な労力はないだろうと思いつつ、さらに上を行くところに脱帽。 『奇譚を売る店』芦辺拓 ☆☆☆☆ あまり詳しく書くとネタバレになってしまうが、古書をめぐる連作短篇集…

若松義人『トヨタの上司は現場で何を伝えているのか』PHP新書「余力をつくるような改善をすることだ。たとえば個人なら、いわゆる「隙間時間」や通勤時間の活用などでも余力を生み出せる。生まれた余力を活かせば、仕事だけでなく、人生の収穫も豊かに変…

『サンデルよ、「正義」を教えよう』高山正之 ☆☆☆☆ 新潮社やっぱり時事ネタは雑誌連載で読むべきだよなあ…。この連載のスタイルが、時事ネタを(学校やマスコミが伝えていない)歴史的事実に絡めてその裏にある思惑を書く、というものなので、同じ根っこの事…

『萌えの研究』 ある程度こちら方面に理解のある、たとえば斎藤環とかじゃなく、普通のジャーナリスト(オウムとかの潜入体験取材を得意とする)が萌えについて調べるとどうなるか、というスタンスに共感が持てた。 一般人とはいえ、過去には綾波に首までハ…

タイトルからすると、何社もの復活エピソードが書き連ねてあるのかと思いきや、とある電柱がメインのコンクリート会社ただ1社だけ。 確かに社風をメインにした改革ということで、さまざまな抵抗や紆余曲折があり、それを丁寧に時間順に書いて行けばこれくら…

『QED ホームズの真実』 ☆☆☆ 講談社ノベルス『ベイカー街の問題』に続くホームズもの。すっかり忘れているが、登場人物も続投で、続編と言って過言ではない。(このシリーズ、この2作だけ明らかに異質なので、本来は別シリーズでやるべきだった) 作中で…

「毎日、遅くまで残業している人は、限定的で外界から遮断された生活を送ることになります。外界から遮断された人がいくら机上で考えたところで、現在顧客が求めているモノに気づくことはできません。」「今後のため、あるいは今の仕事をよりよくするために…

『めざまし塵劫記』西田知己 ☆☆★ 東洋書店『塵劫記』といえば江戸時代の有名な和算問題集だが、本書はそれに代表される算術指南書を通して、江戸時代の文化を紹介したもの。期待と異なり、計算問題そのものはない(落語を鑑賞する手助けにもなるのが有り難い…

『夢違』恩田陸 ☆☆☆★ 角川書店読んでいるその作品がミステリなのか、SFなのか、ホラーなのか、はたまたファンタジーなのか、読み終えるまで全く余談を許さない作家、というのはこの人と山田正紀くらいではないだろうか(少なくとも代表二人であることは間違…

「実際には大量の資料をすべて熟読し、疑問点や自分の意見を整理してから会議に臨む人など、残念ながらほとんどいない。だから、「その場ですべて1から説明する」のも、「すべての資料を事前配布する」のどちらも安易なやり方だ。 つまり、どの資料(情報)…

『浜村渚の計算ノート 3と1/2さつめ ふえるま島の最終定理』青柳碧人 ☆☆☆★ 講談社文庫『数学ガール』とはやみねかおるのミステリを合わせたような本格ライトノベルミステリ。 数学が教育から消されたり、数学愛好家テロ組織、そして女子中学生の数学フェチと…

『シリコンとシリコーン』 ☆☆☆★ 日刊工業新聞社「シリコンは英語で書くとSiliconで、ケイ素(Si)という(略)元素を指します。 一方、シリコーンは英語で書くとSiliconeであり、別名「ケイ素樹脂」、「シリコーン樹脂」と呼ばれる合成樹脂のことで、ケイ石…

『“結果を出している”上司が、密かにやっていること 「残念な部下」を戦力にする技術』内海正人 ☆☆☆ KKベストセラーズ章題より「部下との接し方」「仕事の任せ方」「褒め方と叱り方」「仕事の始め方と終わらせ方」「部下から学べ」「自分が変われば部下も変…

『盤上の夜』 ☆☆☆★ 東京創元社囲碁、チェッカー、麻雀など、テーブルゲームをテーマにした連作短編集。 いちおう創元SF大賞の山田正紀賞受賞となっているが、どうみてもミステリの範疇。島田荘司が編んだ『21世紀本格』に収められるのが最もふさわしいような…