思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

#読書『黒報告書 エロチカ』

『黒報告書 エロチカ』
☆☆ 
新潮文庫 

このシリーズは、闇社会や犯罪についてのルポだと思っていたが、色恋沙汰にまつわる事件を扱った本書は、ちょっと違うのかも。連載時の立て付けを知らないので、ノンフィクションなのか、ノンフィクション・ノベルなのか、完全なフィクションなのか。
 普通に読むと、「セックス描写ありで14ページの短編を書いてください」と依頼した結果のようにしか思えない。 まえがきを読むと、ノンフィクション・ノベル、つまり実際の事件を元にした小説のようなのだが・・・。 
つまりフィクション成分が多すぎて、私の読みたいものではなかったのだ。
 本書の中では深笛義也氏の文章が、一読、頭一頭抜け出ていたように感じた。 

#映画『クレンズ・フレンズ』

『クレンズ・フレンズ』
☆☆☆ 

最初は、デトックスをテーマにしたカルトものかと思いきや・・・。予想外の方向には行ったが、消化不良。ちゃんと落とし前をつけて欲しかった。『午後のロードショー』的な、まだ続きがあるのかと思ってしまった。
 主役はムロツヨシにしか見えなかった(^_^;)

 以下ネタバレ  

デトックスと称してまずい飲み物を飲ませるのは『ビリーバーズ』なんかを思わせる。そこから本作の最大の白眉というかツイストなのだが、吐いたシンクが詰まったので、トラップを外してみると、何やら白い物体が。一見、ディルドかと思いきや、放っておくと、ウーパールーパーみたいなグレーの生命体だった。
 このへんになると、『レックス』とまでは言わないが、『ハッチング 孵化』みたいになってくる。それは主人公だけでなく、他のメンバーも。ご丁寧に、ヒロインのやつはピンクだ(^_^;) どんどん異形になるのかと思いきや、捨てに行くので、最後までは観られないのが残念。
最後に暴れた時に見えたのが、ヒロインのと合体(融合)したのか、顔が二つついた、『ジョジョ』4部の億泰の父親のような、『エレファント・マン』のような、『ザ・フライ』のような奇形であるのが素晴らしい。
 でも、ここで主人公が彼を締め殺してしまうので、その先や、生命とは? アイデンティティとは? みたいなテーマがあったであろうに、それを一切語らなかったのが残念。
 ただし、彼が静かに目を閉じる時のマペットの操演は素晴らしかった。『エイリアン 4』にも匹敵するかも。いや、いいすぎか?(^_^;) 

  2016年 アメリカ

♯読書 吸血媛美夕維1


吸血姫 美夕維(1)
脚本:小中千昭/漫画:垣野内成美
☆☆☆☆
GA文庫

電子版は既読だが、お布施と、書き下ろし短編も収録という事で、購入。
やはり言うても電子版では解像度に限界があるのか(パソコンや大きいタブレットなら違うのかも知れないが)、真面目たる絵の美しさは、あまり感じられなかった。
ところが、改めて紙で読んでみると、これがビンビン感じられる。
ノンブルがないので分かりづらいが、1話の名乗りのコマとか、特に1話は気合が入ってる気がする。あと、どうでもいいが、美夕の名乗り、『007』のジェームズ・ボンドと一緒だ(^^;)
書き下ろし短編は、改めて2話3話の、夕維と美夕のエピソードを、新作の新魔を交えて描いているのだが、美夕の衣装が従来のものであることに注目。
これは以前に描かれていた未収録短編ってこと??

#読書『黒い報告書 エロチカ』

#『黒い報告書 エロチカ』
☆☆ 
新潮文庫 

このシリーズは、闇社会や犯罪についてのルポだと思っていたが、色恋沙汰にまつわる事件を扱った本書は、ちょっと違うのかも。連載時の立て付けを知らないので、ノンフィクションなのか、ノンフィクション・ノベルなのか、完全なフィクションなのか。
 普通に読むと、「セックス描写ありで14ページの短編を書いてください」と依頼した結果のようにしか思えない。
 まえがきを読むと、ノンフィクション・ノベル、つまり実際の事件を元にした小説のようなのだが・・・。
 つまりフィクション成分が多すぎて、私の読みたいものではなかったのだ。 本書の中では深笛義也氏の文章が、一読、頭一頭抜け出ていたように感じた。 

#映画『悪い夏』

『悪い夏』
☆☆☆★ ジ

ョジョ(城定秀夫)監督が、マイナーリーグからメジャーリーグに進出した作品。と言っても、俳優が有名人に変わっただけで、内容は良くも悪くも変わっていない。まあ、元が内容がよかったので、馴染みのある(演技力も多少プラスされている)俳優が出演すれば、よりよくなるのは間違いないはずだが・・・。
 役所の生活保護課に勤める主人公は、手当てを支給している人々の受付と、生活環境の視察に回る日々。
 ある人訪れた給付先の男・山田は、裏では女の裸を売りにするバーに出入りしていた。貧困ビジネスに加担していたのだ。
 役所の主人公の先輩・高野は、生活保護の打ち切りをちらつかせ、そんなシングルマザー愛美に肉体関係を強要していた。
 このあたりまで見れば、どうしても『渇水』を連想せざるをえない。ぶっちゃけ、ほぼ同じ話と言っても過言ではなかった。
 ただ、落ちという終盤はジョジョらしいなぁ、という作家性がうかがえる内容になっていた。
 ただし、『渇水』よりも、社会の貧困層を生生しく描いているので、精神衛生城、ちと来るものはあるので、落ち込んでいる時には見ない方がいいだろう。
 特に、ちょくちょく出てくる『万引き家族』的なおばさんのエピソードとかね。

  以下ネタバレ  

最初は、ヤクザが高野のユスるが、主人公がチクッたので役所をやめ、ヤクザの手下だった山田は、ヤクザに内緒で、愛美に美人局で主人公をはめるように仕組む。が、主人公は真面目なので、娘にもなつかれ、愛美にも誠実に対応し、色仕掛けには乗ってこない。
 クライマックス前には主人公を落ちるところまで落とす、という脚本の常道にしたがって、本作では、常習だった万引きおばさんが、ついに店で見つかって、パートを首になり、社会保障の申請に来るが、主人公も日頃のうっぷんが溜まっていて、きつい対応をしてしまう。だが、このショットでは主人公を真正面から撮っていて、後の机の椅子にはだれも座っていない。カットが変わって、おばさんがいなくなると、後ろには人の姿がある。なので、これは「本当はこう言いたいところだった」が、言えなかったのか、もっとソフトな言い方をしたのか、曖昧になっている。
 だが、後に「だから言わんこっちゃない」自殺未遂で重体との報を知るなど、いろいろあって一線を超えたところを愛美も知らないところにあったカメラで、主人公と愛美のセックスを隠し撮りされていて、それがヤクザにバレ、愛美の部屋に関係者一同が、あるものはヤクザに呼び出され、あるものは期せずして全員集合し、そこで修羅場が展開する。フライパンや包丁が振り回され、血が出るさまは、まさにブラック・ジョークのようで、笑うしかないあたりが、ジョジョ節といえる。
 トドメが、主人公の先輩女が、職業的・社会的正義感から高野を糾弾していたと思ったら、実は高野に不倫的な片思いを抱いていたことを告白するところが頂点。
 屋外に出たら、映画ではお決まりの土砂降りの中で、血塗れかつ高野たちがブチューっとやったりと、文字通りいろんな意味でぐちゃぐちゃ状態(^_^;)
ラストは、役所の清掃員に身を窶していた(窓際にされたのか、首になって清掃業に転職したのかは不明。役所はなかなか首にできなさそうだから、前者か?)主人公が文化住宅に帰り、「ただいま」と扉をしめたところをアパートの下から撮ったショットで終わり。中を見せないのがニクイ。主人公の自宅はそれまで一度も登場しておらず、主人公が愛美たち母娘を引き取ったのかどうか、微妙なままにしてあるのだ。
 なお、ピンク映画の巨匠でもあるジョジョだが、本作はPG12で、セックスシーンでも愛美役の河合優実は脱いでないのだ。ダメじゃん(´д`) レーティングの関係かと思ったが、ヤクザの経営するバーでも(脱ぎ要員の)女性が胸を見せているのに。

2025年 日本

#映画『死亡遊戯で飯を食う。 44:CLOUDY BEACH』』

『死亡遊戯で飯を食う。 44:CLOUDY BEACH』』
★ 

タイトルに惹かれて、いちおう公式サイトのイントロダクションを読んで、その年のラノベの某部門で1位になっている、というので観た。評価として、デスゲームものの逆張り展開が受けた、というので面白そうだな、と。
 ところが、見てみると、アップの、特に瞳とか多重レイヤーでやたら気合が入っているのはいいのだが、それ以外が作画崩壊レベル。
 というか、背景だけのカットがやたら多い。さらに、ロングショットでは主線もないキャラになるはいいとして、それがミドルショットもそうなのだ。そういう演出なのかも、とも思ったが、どちらも特にキャラづけでも、演技でもない、ただの棒立ちなので、これはレイアウトのためのガイドとしてラフ画を、時間がないからそのまま使いました、としか考えられない、と結論せざるを得ない。会話シーンでも、同じカットをいったりきたりして、しかもアップやバストショットも棒立ち。
 これはどう考えても炎上案件でしょ(´д`) 画面の中央に「1/34」と出て、それが「2/34」というようにひとつずつカウントアップされいくのだが、それが日付でもないし、イベントをクリアした章立てでもないし、時間でもないし、全然分からない。もしかしたら、原作小説の章分けなのかも? というくらい、原作小説のページ数以外の法則性が想像できなかった。
 とりあえず、オンラインのデスゲームであることはわかったが、それ以外は、誰が犯人とかもどうでもいいくらい、茫漠とした演出と画面だった。 
テレビ版『エヴァ』のラスト2話みたいなのが2時間続くのだ。会話もあるが、ずっとモノローグ的に喋ってるし。
 よく言えば、サウンドノベル的な演出といえるのかもしれないが、背景もキャラもコピペばかりの手抜き漫画を連想した。江川達也の『仮面ライダー ザ・ファースト』みたいなね。

  以下ネタバレ  

いちおうデスゲームとしての犯人探しが、ゲームとしては目的なのだが、そもそも起こっていることの説明も十分ではないし、キャラも、見た目の違い意外に、個性的な言動が全く演出されていない上に、先述した顔もベタ塗りのロングショットばかりなので、全く把握できない。まるで登場人物が全く覚えられない海外翻訳ミステリーを読んでいるようで、ミステリーとしての楽しさもゼロ。
 ラストの高速道路の逆回しのようなカットも、意味ありげではあるが、これだけでは意味が分からんし。そもそも冗長すぎて、見返そうとも思わないし(´д`)
百歩譲って、散文詩かつ止め絵ばかりの演出方針だったとしても、キャラくらいは普通に描いてほしかった。それすらないんなら、声優ファンくらいしか楽しむ要素がないではないか。
 ちょっと感想を覗くと、原作やテレビシリーズを見ていると、もうちょっと何が起きているか、真犯人がどうとか、くらいは理解できるらしいので、初見で劇場版だけ見るほうが間違っているのかもしれないが。
  2026年 日本

#映画『陪審員 2番』

『陪審員 2番』
☆☆☆★ 

イーストウッド監督の新作が劇場公開されないということで、映画マニアの間では話題になっていた作品。
 主人公は、身重の妻を持つ陪審員。
 裁判が始まると、検事の起訴内容と同時に、そのシーンが流れる。が、その回想シーンとおぼしき映像の、舞台であるバーに主人公が座っているではないか。 
これは、たまにある、回想シーンにそれを聞いている人が映り込んでいるという映画的手法なのかと思いきや、なんと主人公がその場に居合わせたという。 
本作では、知ってか知らずか、本来というか、厳密には陪審員に慣れない人が3人も陪審員になっているのが問題だと思った。 
まず、主人公はどうもこの事件の真犯人だということが序盤で明らかになるのだが、それを言わないこと。あとの二人はネタバレになりどうなので後述。
 本作は前半は裁判もの、後半は『十二人の怒れる男』のような陪審員の評議ものとなっている。
 この手のものは、誰が作っても最低限の面白さが保証されているのだが、本作は良くも悪くも、その通り、及第点ではあるが、飛び抜けた面白さもなかった感じだ。

  以下ネタバレ  

中盤でわかるのだが、陪審員の中に元刑事がいて、被告が犯人ではない、重要な捜査を、昔のツテを使って集める(その後、それがバレて退場)。
 最後は、作中でもスルーされていたが、被告が麻薬の売人で、それによって息子が廃人になって死んだという男が陪審員になっている。これも、主人公と同様に、じっさいに目の当たりにしないと分からないが、途中で自己申告することは可能だったはず。
 主人公をはじめとする懐疑派によって、評議は6対6にまで持ち込み、異例の現場検証まで行うが、結局犯人は有罪となる。
 ただし、判決は全員一致か、評決付加つまりパスとなるので、主人公が変節したということになる。だが、そこは一切描かれない。
 また、主人公は妻にも事故当時のことは隠しているのだが、ラストでは警察がやってきたところで終わり。主人公の内面がほとんどの場合省略されている縁説を、スマートと見るか、心情の変化の描写を拒否していると取るかで、評価が別れそうかも。
あと、本作では弁護士と担当検事が友人というか恋人(不倫?)という関係で、裁判が終わった後にバーで一緒に飲んだりしている(さすがにその後のベッドシーンとかはなかったが)のだが、それも法的にありなの??

2024年 アメリカ