思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

大陸横断超特急
☆☆☆
まるでジャッキー映画みたい。コメディ調だが、内容は『バルカン超特急』よろしく(というよりもこれのオマージュタイトルか)悪党たちの企みに巻き込まれた主人公の奮闘を描く。
本作で面白い(バカバカしい)のは、主人公が列車に乗って、終着駅に着くまでの間に3回も途中下車(落下)するところ。
それでも、飛行機だったり、車だったりを拾って乗り込む。どんだけスピードが遅いねん!?と突っ込みたくなる。
本当に列車が暴走する=乗り物パニックらしくなるのはラスト10分くらいしかない。


『おじいちゃんはデブゴン』
☆☆☆
ボケ老人だが、若い時の特殊警察のカンフーが身についている、という。まさしく「ナーメテーター」ものである。
流石にサモハンも歳なのか、体全体を使ったアクションは控えめで、受身や関節技が主体。
友情出演的に往年の香港スターが出てくるのも楽しい。

ギャラクシー・クエスト』☆☆☆☆

スター・トレック』のパロディ。『レッドスーツ』みたい。『スタトレ』ならぬ『ギャラクシー・クエスト』に出演した俳優たちが、そのドラマの放送を傍受した宇宙人たちが作った宇宙船のメインクルーとして拉致され、本物の宇宙戦争(というよりまんま『ギャラクシー・クエスト』世界)に巻き込まれることに。
後半では、番組オタクに使い方を教わる、というさらなるメタ的な展開もあるものの、やってることは実は本家と変わりない。宇宙船が落ちるのも『スター・トレック イントゥ・ザ・ダークネス』を先んじている?
ガイド役のスポックのバッタもんみたいな異星人も、ニヤニヤが気持ち悪い(クトゥルー的な外観の宇宙人が擬態している為に不自然、という設定がうまい)のに、最後には愛らしくなるのがうまいところ。


刑事コロンボ 死の方程式』
☆☆★
母親の次に次期社長になる遊び人息子が、現社長の乗った車を爆殺する。
とにかく犯人役が爆弾を手作りするわりには軽重浮薄で感情移入できない。
コロンボも、最後こそ犯人を罠にかけるものの、特に頭を使って捜査している感じがしない。
何より、吹き替えが「これこれ!」という感じじゃなかった(石田太郎?)のが最大の残念ポイントか。

オーパーツ 死を招く至宝』蒼井碧
☆☆☆☆
宝島社

オーパーツ愛好家たちが殺される事件を描く連作中篇集。エピローグには全体を通した仕掛けもあるが、暗示されるのみだったのでよく分からなかった(^_^;)
でも、主人公に瓜二つな名探偵という設定に、時には一般人すなわちワトソン役と思われた主人公のほうが真相を推理するなど、小説としても楽しい。新本格のエッセンスを中心に、ラノベ的に書かれている、辻真先みたいな雰囲気。
第4章を改稿したせいか、主人公と名探偵の姉とのロマンスがどっか行ったなどの伏線未回収が惜しいが、これは次作以降へシリーズ化の逆伏線と解釈して期待しよう。
ちなみに、オーパーツについても、ファンタジーな説と、現実的な説の両方を載せているので、おしつけがないのが間口を広げている。

『迷惑メール、返事をしたら、こうなった』多田文明
☆☆☆★
イースト・プレス

前著を読みのがしているが、本書はネット詐欺に限定した内容なので、住み分けされている。

あとがきにある「南無阿弥陀仏」と覚える七ヶ条。
「「なりすまし」の存在を意識して(略)
「無料」の言葉にはつられない(略)
アクセスしない(略)
見知らぬ人からのメールは即、削除(略)
題名(タイトル)の魔力に惑わされない(略)
ぶっそうな代物は買わない」
これさえ覚えておけば大丈夫。
最悪、へんなところをクリックしてウィルスに感染し
「もし画面がフリーズしたような場合には、独立行政法人情報処理推進機構(略)のサイトなどに画面を元に戻すシステム復旧の手順が書かれている」
とあるが、フリーズしたら見られへんやん(T_T)前もって調べておけ、ということか。
なお、本書では言及されていないが、迷惑メールには誤字が多い。単なるタイプミスや変換ミスの可能性が高いが、外人の可能性も同じくらいあると疑うのが当然だと思うのだが……。本書ではそれぞれの犯人の素性については完全スルー。警察でも分からないくらいだから、一般人には手の及ばないところなのだろう。

『戦争は女の顔をしていない』
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ著/三浦みどり
☆☆★
岩波現代文庫

ベラルーシの著者が、女たちの戦争(っていうタイトル聞いたことがあるが、何だったっけ?)を膨大なインタビューをしてまとめた(だけの)本。
インタビューは、長いものでも10ページ未満で、短いものでは5、6行しかない。いくら文庫で文字級数が小さいといっても、もう少し取材対象の情報を入れるとか、何とかならなかったものか……。氏名と階級、担当しか書かれていないのだ。
改めて思えば、これは、反戦メッセージとして、紛争地の住民や飢餓難民をずらっとならべる広告と同じ手法と言える。とにかく並列的に数を揃えるのだ。さすがに全員2ページずつ、みたいな乱暴なことをしていないだけましだが。
内容的には、やはり体験者ならではの重みはあるが、客観的な資料や取材による俯瞰的な背景描写がないので、どこまで行ってもミクロの視点から跳躍できないのが難点(これは左翼視観の特徴と言えるかも)。だからというべきか、本書はノーベル文学賞を取っているらしい。だからこそ、64年に出た本が2013年になってようやく翻訳されたのか?
とは言え、制式に女性が前線部隊に従軍する、というのは第二次大戦時にはロシア周辺ならではなので、興味深かった。
ソ連の女性兵士に関する本なんかも読んでみたくなった。


ブラックホーク・ダウン
☆☆☆☆
再見。初見時は、冒頭でいきなりブラックホークが墜落した印象だったが、意外と人物や状況説明描写が多く、遅かった。
とは言え、全体の割合からすると、2割も経たないうちに墜落するのだが……。
本作を一言で言うと『遠すぎた橋』にも通じる撤退戦。いかに情勢不利な敵地から、死傷者と共に生還するか、という物語である。
ただし、帝国陸軍ものなんかと違うのは、無線も充分機能しているし、基地にも近い。なので補給の上で支援・救出部隊も来る、ということだ。
ただし、それ以上にゲリラ的な民兵(的な、というより両者はイコール?)がワラワラと湧いて来る。彼らは鉄砲やマシンガンどころか、重機関銃やらグレネード(発射を確認したら「RPG!」と叫ぶのは、本作で知った)ので、救出は容易ではない。
彼が次々と群がってくる描写はほとんどゾンビと変わらない。いちおう英語を喋るシーンもあるのだが……。
グロというより、様々な威力の違う火器に当たるとどう身体が怪我するのかを描き分けたリアリティが本作の特徴。ゾンビもののシューティングゲームみたいな状況だが、そこがゲームとは大きく違うところ。ただ、見返してみて気がついたが、実はソマリア人側には手足が千切れたり、内臓が飛び出たり、脳味噌が見える描写は皆無。そのへんにポリコレというか、アメリカ政府への反戦メッセージが込められているのかも……。そこがいちおう勧善懲悪的なカタルシスのある『ランボー最後の戦場』とは大きく違うところだ。

ドッペルゲンガーの銃』倉地淳
☆☆☆★
3編プラスαからなるド本格ミステリ中編集。
『富豪の蔵』☆☆☆☆
密室殺人だが、密室トリックは確かに前代未聞かつ、非常に面白いもの。
ドッペルゲンガーの銃』☆☆☆★
1つの旋状痕がほぼ同時に起きた2つの事件現場から発見された。アリバイに監視カメラが使われているのを除けば、古典的とも言えるトリック。どうせなら、タイトルは『ドッペルゲンガー銃』にしといたら『ドッペルゲンガー宮』のパロディみたいで良かったのでは?
『翼の生えた殺意』☆☆☆★
雪の密室もの。敢えて翼が生えた、とかいうのはなんか中二病みたいで恥ずかしいが…。まあ、装丁からしてもラノベ読者が対象なのかも。内容的には真相を聞けば「これしかない」というもので、意外性の驚きはないが、トリック謎解きものとしては二重丸。

本作の主人公は女子高生ミステリ作家の卵で、兄の刑事に現場に連れて行ってもらうという、前に読んだ『友達以上探偵未満』とほとんど同じ内容(´д`)
ただ、兄の刑事の身体に都合よく守護霊が憑依して謎を解くという、『ヒカルの碁』みたいな話。


スクリプトドクターのプレゼンテーション術』三宅隆太
☆☆☆★
スモール出版

スクリプトドクターの脚本講座 初級編』が脚本カウンセリングの本だとするなら、本書はプレゼンカウンセリングの本。
プレゼンの本質は、対話つまり相手にどう理解してもらうか、リアクションを見ながら伝えること。
そのための手段として、自己開示が重要である、というのが大意だ。
ラジオ『タマフル』の主催のようで、同番組に出演した際のエピソードや音源を元にしたトークショーの書き起こし。
なので、同番組の名物コーナー『サタデーナイトラボ』を聴くのと同じく分かりやすく、楽しめる。

『友達以上探偵未満』麻耶雄嵩
☆☆☆★

中篇集。一見すると石崎幸二シリーズみたいな女子高生コンビが、謎を解く。三篇中『伊賀の里殺人事件』と『夢うつつ殺人事件』が解答編として区切られた犯人当てだが、なかなか難しい。
最後の『夏の合宿殺人事件』は、掲載誌違うし、時系列的にも前のエピソード。これが曲者で、本作を読めば、本のタイトルの意味が分かる、というもの。

以下、ミステリ的なトリックとは無関係だが、テーマ的な若干ネタバレ。

何かしらいじわるいテーマを設定する作者だが。本作のテーマは、探偵が、自らに都合のよいワトソン役を作り上げること。もちろん、相手にも(作中人物としての)人格があるので、そう簡単には行かない。