思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『探偵小説は「セカイ」と遭遇した』

『探偵小説は「セカイ」と遭遇した』笠井潔 ☆☆☆ 南雲堂いわゆるセカイ系ノベルやアニメとゼロ年代ミステリの相互影響、『容疑者X』が本格探偵小説の傑作か否か論争、そして探偵小説と社会批評についての評論集。 セカイ系論については特に反論はない。紙幅…

『片腕必殺剣』

☆☆★古い香港映画。ほほ、スタジオ撮影ということとか、剣がどう見ても竹光だとか、日本の戦後のチャンバラ映画みたい。 動きも「よっ、よっ、ほっ(ジャンプしてる)」みたいな感じで、シャープさがない。蹴りがほとんどないのもチープさの要因だ。特に片腕…

『掛ケグルイ愛』

☆☆☆★いわゆるファンブックは、当初は良いのだが、何年も繰り返し読むのは厳しいのがキツいものが多いので、基本的には買わないのが吉。 だが、本作は登場キャラも多く、ギャンブルの種類も多いので、忘れているものも多く、復習になる。また読み返したくな…

『プラウダ戦記(1)』

☆☆☆☆アニメ版の、そしてたくさんある(便乗……もとい)スパンオフマンガでは、ほのぼの(萌え?)路線の『ガルパン』だが、本作は一味違う。萌え要素はキャラデザだけで、内容は実にハード。『ガンダム』で例えるなら『サンダーボルト』くらい。 私的に一番…

『そして誰も死ななかった』

『そして誰も死ななかった』白井智之 ☆☆☆☆★ 角川書店これぞ新本格! 最初は文章のぎこちなさや、とても感情移入できない主人公の設定に、とっつきにくいのだが、中盤を超えて『そして誰もいなくなった』状況になると、ミステリ読みなら、のめり込まずにはお…

『カンフー・ヨガ』

『カンフー・ヨガ』☆☆☆★香港&インド合作。意外にも、原題通りの邦題だ。 ジャッキー映画としてはまあまあじゃない?(´Д`) というのに尽きる。 要する、映画としては設定やストーリーはどうでもよく、ユーモア混じりのアクションを楽しめばいい、ということ…

『It』

『I T それが見えたら、終わり』☆☆☆★『スタンド・バイ・ミー』足す『貞子3D』みたいな感じ。 タイトルの感じでは、何だか分からないものが襲って来る、『ファイナル・デッドコースター』とか、『』とか(タイトル忘れたが、キャリー・アン・マス』が刑事役…

『魔改造への招待』裸族 ☆☆☆☆模型製作ハウツー本としては破綻しているはちっちゃけた文章に好き嫌いが分かれそうだが、私は好きだ。 何より、モデラーがどういう思考過程を辿ってフィギュアを作り上げているのか、そのぶっちゃけた本音がじっくり分かる。 …

『ライトスタッフ』☆☆★長谷川迷人とかから絶賛されていたので、気になっていた映画。 期待して観たのだが、ちょっと違う感じだった。何をおいても長すぎる。3時間くらいあるのだ。 ざっくり言うと、『王立宇宙軍』と同じような内容なのだが。 まず、テスト…

『HJメカニクス(4)』 ☆☆☆☆「ガンプラの基本テクニック今昔」特集(正式名は違います)。 旧キットから、MAX塗り、カラーモジュレーションまで。 個人的に感嘆したもの。(1)チョートクさんが自分の土俵でもあるF90Mを艦船キットのウェザリング手法で仕上…

『死亡フラグが立ちました! 超絶リアルゲーム実況殺人事件』七尾与史 ☆☆★ 宝島文庫人気シリーズの新作だが、いったいどうしちゃったの? というくらいの劣化っぷり。これじゃ、凡庸なラノベやん(´Д`) 『カイジ』の命懸けゲームや、『殺戮ゲームの館』や、…

『シューテム・アップ』☆☆☆☆いやー、バカだ(^^;) ガンアクション映画における、厨二病的な妄想をやっちゃった。 『スズメバチ』では、弾丸の数がセールスポイントになっていた割にイマイチだったのに対し、本作は看板に偽りなし(^^;) 序盤からラストまで、…

『人は変われる』高橋和巳 ☆☆☆☆★ 三五館不思議な本だ。一見『人を動かす』のような、ビジネス/自己啓発本かと思いきや、宗教にも通じる自己洞察、哲学の本だからだ。 『ブッタとシッタカブッタ』を専門的に書いたもの、と言ってもいいが、一番ちかいのは仏…

『史上最大の作戦』☆☆☆ 72年の作品。てっきり過去に観たと思ってて、しかもカラーだったので、白黒だとは意外だった。ただの記憶違いか、同じテーマの他の作品だったか、はたまたハヤカワ文庫のノンフィクションで思い描いた想像だったのか……(^^;) まあ、ノ…

『物体E』ナット・キャシディ&マック・ロジャーズ著/金子浩訳 ☆☆☆☆ ハヤカワ文庫SF現代は『 STEAL the STARS』。原題の意味は、読み終えればすぐに納得するだろう。 邦題は、恐らくエイリアンのE……と書こうとして、アホさ加減に気づいた(^^;) あれ、何の意…

『オシリス』☆☆☆★ まず、オーストラリアSF、というのが珍しい。 結論から言うとB級なのだが、特筆すべきというか、メモすべき点がない訳ではない。 まず、惑星長官みたいな人が箸で日本食を食べる。衛兵が何故か剣道のお面をかぶっている何故か日本リスペク…

『偶然屋』 ☆☆☆☆ 小学館依頼に対して、偶然を装って解決する、という会社に就職した主人公が遭遇するトラブルを描く。 映画『スペシャルアクターズ』 みたいだが、ミステリー小説にはありがちな設定でもある。ただし、それは物語の背後にあって、真相・犯人…

ミネルヴァの報復

『ミネルヴァの報復』☆☆☆☆若手女弁護士が主人公の法曹ミステリ。何か高木彬光の検事シリーズを読んでいるような懐かしさ(^^;) 中嶋の法曹3部作とも違う、弁護士のリアリティが非常に興味深い。それはビジネスとしてだけでなく、弁護士という生き方そのもの…

日本海軍艦艇カタログ

『日本海軍艦艇カタログ』☆☆☆☆800円くらいなのに、ほぼ全艦艇がCGモデリングされ、おまけに各部アップ稿(レンダリング)まである超お買い得。本書じたいが単行本の文庫落ち的な意味合いがあり、ほとんどのCGは、同社の他の書籍の為に作られたものの再利用…

ミネルヴァの報復

『ミネルヴァの報復』☆☆☆☆若手女弁護士が主人公の法曹ミステリ。何か高木彬光の検事シリーズを読んでいるような懐かしさ(^^;) 中嶋の法曹3部作とも違う、弁護士のリアリティが非常に興味深い。それはビジネスとしてだけでなく、弁護士という生き方そのもの…

高校入試

『高校入試』湊かなえ ☆☆☆★ 角川書店教師の立場から高校入試の現場を描いたもの。その背後には、ネットの裏サイトで入試をメチャクチャにしようという陰謀が……。 本作では、短い章立てで、視点人物が次々に変わること、裏サイトの書き込みが、チャットばり…

『三度目の殺人』

『三度目の殺人』☆☆☆★見る気はなかったのだが、まんまと宣伝でのミステリー風味だけで、「観てみよう」と思(わされ)った。 冒頭で殺人、容疑者・役所広司と、(ダブル)主人公である弁護士・福山雅治が合う、というスパーディーな展開。 まあ、法曹ものな…

『オーガスト・ウォーズ』

『オーガスト・ウォーズ』☆☆☆★色んな意味でへんな映画だ(^^;) まず、メインビジュアルに出ているロボット。映画冒頭から、ファンタジーみたいなピクサーみたいなヒーローロボと、デセプティコンみたいな悪のロボが戦う。 ……と思いきや、これが主人公の息子…

『パラドックス・メン』

『パラドックス・メン』チャールズ・L・ハーネス著/中村融訳 ☆☆☆☆ 竹書房文庫実に充分至極な解説があるので、気になった人は、まずそこを(立ち)読みすれば、本作の特徴がよく分かる。 要する、ヴァン・ヴォークトやベスター、ベイリー、などが好きなら、…

『青き鋼のアルペジオ(6)』

『青き鋼のアルペジオ(6)』☆☆☆☆メンタルモデルの設定じたいに『ファイブスター物語』の影響はある程度あるのは当然だが、ここにきて、直接的な描写が出るようになった。時折り見せる冷酷な表情がそれだ。 ムサシのメンタルモデルがずっと目を閉じているの…