思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ヴィジット

☆☆☆★

シャマラン監督。母子家庭の子供たちが、母親が新しい恋人と船旅に出かけるので、祖父母の家に一週間預けられる。
姉は趣味が映画制作なので、これを機に、ラッパー志望の弟にもカメラを持たせて、ドキュメンタリーを作ろうとする。なんか『エビデンス』みたいなお話である。
個人的に、全編手持ちカメラと想像できた時点で観るのやめようかしらと半ば以上思ったのだが、なんとか見続けると、45分くらいすると、変なことが起こりだした。
素人の自主制作映画にしてはやたら画質がいいとか、閑話休題用の風景のインサートの構図や場面が決まり過ぎているとか、アクションシーンでは、不自然極まりなく、映すとこはちょうどいいタイミングで映り、隠すところは映らないなど、これまた不自然(^^;) バミリとかリハーサルとか、カメラのセッティングとか、大変だったろうなぁと容易に想像できる。
これまた個人的に、なんでPOVではなく、普通の三人称視点で作らなかったのか。それなら、もうちょっと楽しく見られたのに……。
前半の何も起こらない「溜め」の場面には、特に伏線もないので、もうちょっと切っても良かったんじゃないなぁ。
またまた個人的に、弟がラッパーってのがダメ要因だったし。ラップするところはエンディングを含めて三箇所くらいしかないからいいけど。

以下ネタバレ

本作は、『パラノーマル・アクティビティ』を『クリーピー 偽りの隣人』や『散歩する侵略者』の黒沢清風に演出した感じ。
老人特有の認知症などの症状を誇張して、『呪怨』の伽倻子や子供みたいにばっちり怖いものが映るスタンスで演出しているのだ。
終盤にで、リモート通話している母親が「祖父母」の写真を見て、祖父母じゃないと、言うシーンは、叙述トリック系ミステリーとしてはあるあるだが、祖父母が診ていた患者なのか、本当に宇宙人なのか、よく分からないところはシャマランらしいところなのかも。
人間ドラマ的にも、終盤で主人公を心理的に追い込む要素として、弟から、「映画を編集する時以外、鏡を見ない」と指摘されるのだが、そんなことある?? 自分が映った映像を自分で編集するなら、嫌でも気になるから、身だしなみを整えようとするでしょ?