思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『重要証人 ウイグル強制収容所を逃れて』
サイラグル・サウトバイ&アレクサンドラ・カヴェーリウス著/秋山勝訳
☆☆☆☆
草思社

中共のいう新疆ウイグル自治区、つまりは中共東トルキスタンを侵略した土地に生まれたカザフ人の自伝。
一旦は強制収容所で中国語教師を強いられたサイラグル女史が、カザフスタンに密出国し、そこでも中共からの実態のある圧力があるので、最終的にはフィンランドに亡命するまでが書かれている。
監視社会や、二人以上で会うことは禁止、共産党が家の中まで入ってくる、そして週末には漢人への奉仕(家事から夜まで)を強いられるなども最悪だが、理由なく強制連行(こういうのを強制連行って言うんだよ! 韓国と日本の反日の人たち)された先の収容所の実態をメインに引用。

「午後8時から10時まで、収容者は「自分の罪を心から受け入れる」ために監房に入れられ続ける。それは、自分が犯した罪に徹底して向き合い、押し殺した声で自己批判を何度も繰り返す(略)壁に向かい、手を上に掲げてレンガの壁に当てる。その手には手錠がかけられたままだ。この姿勢で2時間ものあいだ、狭い監房のなかでひしめきあいながら全員が、「私は犯罪者だ」と唱えつづける。」
もちろんこれらの「罪」とは、中共が押し付ける「罪」であり、自由主義社会ならなんでもないものであることは言うまでもない。おまけに、中共が望む罪を作り上げて、望むような反省を言うまでは、暴力や拷問が続けられるのだ。


「16平方メートルに20人もの人間が詰め込まれていた(略)プラスチック製バケツは一房に一個しか許されていない。このバケツがトイレして使われていたが、バケツは24時間に一回しか空にできない。
 5時間後、バケツが満杯になったら(略)膀胱が破裂しても(略)バケツが空になるまで待たなければならないのだ。」

「この施設で私が過ごした五ヶ月間、解放された収容者は一人もいない。(略)解放されたという話はその後も聞いたことはない。」

日中は、何をやっているかというと、中国の風習を叩き込まれ、共産党のお題目や習近平礼賛を繰り返させられる。病気だろうがなんだろうが、小さな椅子に座らされることから逃げられない。椅子に座れないということは、看守たちの拷問を受けることを意味する。共産党の強制に従えないということは、すなわち死あるのみ。怪我や病気・体調不良による療養などないのだ。

「収容者には洗濯は一ヶ月か二ヶ月に1度しか許されていない。」

「水中監獄(略)では、収容者は天井から鎖につながれたままプールの中で拘束されていた。水の深さは口元まであり、収容者は横並びにされ、鎖につながれた両腕を頭上に伸ばしている。(略)糞尿は水のなかにそのまま垂れ流しだ。プールから出られるのは1日3回、食事のときだけ。一度プールに入れられると、その状態のまま数週間拘束される。」

「「われわれは北京に国を売りつづけている」が、「その見返りに得たのは、弾圧と自由の剥奪でしかなかった!」」
これはカザフスタンの話だが、朝日新聞とか東京新聞とか、TBSには是非噛み締めて欲しい部分だ。

「秘密警察に雇われたカザフ人から、私たちは執拗な嫌がらせを受けた。その資金はどれも北京政府が出していた。」

ここまでやって、逆になぜナチスのように、収容所に放り込んだら次々に毒ガス室に送って殺してしまわないのか不思議なくらいだ。出てこられない、という意味では同じなのに。漢人たちの加虐趣味を見たすためとしか思えないけどなぁ・・・。
本書の内容は、全人類必読であり、まともな日本が国家であれば、NHKスペシャルでやるようなものだ。そもそも日本ではNHKが実質的に既に中共支配下にあるから無理なのだが(´д`)