2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧
『日本の名著』 ☆☆☆ 中央公論社『放屁論』☆☆☆ 両国に自由自在に屁をこく男が見せ物をやっている。屁というのは実に何の役にも立たないものだが、それで歌から物語までこなすのだからすごい、という短編(^_^;) 三百年くらい昔の、江戸時代中期の小説が普通に…
『永遠の0』百田尚樹 ☆☆☆☆★ 講談社文庫 読者家・故・児玉清氏の解説を読めば良い。 それに抜けている部分は…。 まず、これがリベラリストばかりの戦後日本ミステリー界にあって、希有な保守的ミステリーだということだ。 なぜ特攻というものに多くの日本人…
『華竜の宮』上田早夕里 ☆☆☆☆ 早川書房 短編『魚舟・獣舟』の長編バージョン。 短編の方が、そのアイデアだけで良質のSFとして必要十分なものだったのに対して、長編として書き込まれたストーリー部分は、『日本沈没 第二部』のような世界で『樹環惑星』のよ…
『樹のごときもの歩く』坂口安吾+高木彬光 ☆☆☆ 東洋書院 裏表紙の解説は酷い。結局本作について何も述べてないのだ。乱歩の前書きを読んでいれば誰でも書ける。 本作は顔がわからないくらいの傷痍軍人として復員した安彦を象徴として起こる連続殺人事件。……
『女性宰相待望論』加藤清隆 ☆☆☆☆ 自由社 『渡部昇一、女子会に挑む』と似たコンセプトだが、本書は現役女性政治家に限定しているという点で、より焦点が絞られていると思う。 それはもちろん、タイトル通り、初の女性総理が誕生するとしたら、この中から出…
『改訂・受験殺人事件』辻真先 ☆☆☆★ 朝日ソノラマ文庫 再読。 ポテトとスーパーが交互に書いた小説という体裁が面白い。ある意味では二人の探偵の推理合戦だし、なんだかんだ言っても最後に真相に達するのはポテトだから、探偵とワトソンが交互に書いたミス…
『嫉妬事件』乾くるみ ☆☆☆★ 文春文庫 我孫子武丸氏の解説によると『ウロボロスの基礎論』で描かれた(この解説読むまで忘れてたけど)京大ミステリー研究会の部室の本棚にうんこが置かれていた事件は実話なのだそうだ。乾くるみは京大ミステリー研究会ではな…
『罪火大戦ジャン・ゴーレ(1)』田中啓史 ☆☆☆☆ 早川書房 こんなバカバカしい、本格SFを書く人は他におらんなあ…。と改めて思う。 ま、バカSFといえばそれまでだけど。 名作『忘却の船に流れは星』と同じボリュームで、大風呂敷が広げられている。1巻とい…