思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

マッチスティック・メン

☆☆☆

なんとなく聞いたことあるタイトルだったが、ニコラス・ケイジ主演で、リドリー・スコット監督だとは知らなかった。タイトルは作中の字幕で分かるが、詐欺師という意味らしい。
主人公は詐欺師だが、強迫性障害潔癖症で、チック症というのか、目の下がピクピクなる症状もあり、この二つは作中でいじられるのだが、常にタバコを吸っているニコチン中毒でもある(子供の前や料理中も)。潔癖症のくせに灰皿の前でじっとしていない時にタバコを吸う、というのは、灰が床に落ちることを考えるとあり得ないと思うのだが。脚本家や監督は、嫌煙家でも潔癖症でもなかった、ということか。個人的には、この一点だけでも評価に値しない……と言いたいくらい(^^;)
一幕めの終わりくらいに、主人公の分かれた奥さんの娘に会いに行き、一言話して別れた後、家出して転がり込んできた彼女と生活することになる。
潔癖症の詐欺師と、不良娘なんだから、うまくゆくわけがない。どっちにも感情移入できずに客観的に観ていてすら、イライラさせられる。ここで早送りモードに移行。物語は、彼女も巻き込んでの大口のカモ案件になる。
ネタバレなしで言うなら、本作は映画館で観ないと、途中でムカついてテレビを消してしまう可能性大だが、最後まで見れば、損はしない作品に仕上がっている。

以下ネタバレ

本作は、どんでん返しというか
、物語上の大きな仕掛けがある映画だった。それが、リドリー・スコットらしい「最初から詰んでいた」系のお話でもある。また、少女のイライラさせられる言動にも、遡って納得させられるものでもある。

さらにネタバレ

主人公が妻と別れてから数年経つというのがポイントで、探して逢いに行った娘は、主人公の詐欺師の相棒が仕込んだ仕掛人だった。要するに、本作で主人公が会うほとんどの人物は、その相棒が主人公を騙してしこたま儲けた金を奪うための計画だったのだ。これはなかなかのどんでん返し映画と言っていい。
唯一の例外が、いつも行くスーパーのレジ係の女の人で、ラストで金も相棒も「娘」も全て失った主人公が、そのレジ係とは再婚している、という救いが用意されている。でも、これ、ご都合主義すぎない? ニコラス・ケイジのチャラいキャラ的にも、そんなことあり得ないと思うけど。
全てを失った際に、潔癖症は治ってるのかもしれないけど。