思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

火星人の方法

『火星人の方法』アイザック・アシモフ
☆☆☆★
ハヤカワ文庫SF

『火星人の方法』☆☆☆☆
変な邦題だなぁと思ったら、本文中ではちゃんと「火星人のやり方」となっている。ストーリーは、火星植民が始まれば、多段式ロケットを使用するため、宇宙ロケットから増槽を投棄するので、それを回収して再利用するビジネスが発生するはず、という渋いハードSFになっている。それに加えて、水の供給を地球からに頼っている状況を打開するため、木星の環から氷を取ってくる、というミッションが。

『若い種族』☆☆☆★
異星人との接触を、それぞれの視点から描くことで、違和感をミステリー的に種明かしする。

『精神接触』☆☆☆★
熱エネルギーを求めて、惑星のコアへ向かって掘り進めて行く地下文明、という設定は、確かに理にかなっているが、あまり見ない設定だよなぁ。それに加えて、赤ちゃんは異星人から見て(後々成長する、という点を除けば)人間の定義を満たしているのか? という哲学的テーマが。

『まぬけの餌』☆☆☆★
これもファースト・コンタクトもの。要するに、1年で全滅した植民団が絶滅した原因は何か、ということを探る話。イディオ・サヴァンを利用した記憶機関や、多様な科学者たちの軋轢など、中編にしては要素が多すぎて、散漫な印象かな。ネタ自体はハードSF的というか、科学エッセイも得意なアシモフらしい物だが、短編で十分では?