思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『逆説の日本史(26)』井沢元彦
☆☆☆☆
小学館

日露戦争と、日本の転落への転機となった日々焼討事件について。後者は、売らんがために大衆にポーツマス条約が不平等だと煽ったマスゴミによって民衆が正論を載せていた国民新聞を襲撃した事件。
また、日露戦争では丁字戦法がウソだったこと、乃木将軍が勇将であり、なおかつそれがロシア軍に過大評価されていたこと、およびもう片方では、脚気が陸軍で蔓延しており、陸軍の医学責任者だった森鴎外が自分の間違いを生涯認めなかったこと、などが述べられている。
日本にジャーナリズムが生まれないこと、試験バカが組織を動かすことの問題は、この100年以上、変わらぬ宿痾であることが分かる。

「日本では女性の権利を守れと声高に主張し一歩も譲らない(そのこと自体は正しいが)のに、これが韓国や中国の話だと勝手に忖度して事実を報道しない。たとえば2004年、韓国で密陽女子中学生集団性暴行事件というのが起こった。韓国人なら誰でも知っている事件と言って過言では無い。しかもこれは、良心的な韓国人が「だから我が国は『性犯罪者の天国だ』などと言われるんだ」と嘆いた事件なのである。(略)日本のマスコミできちんと報道したところはほとんど無かった。」

キリスト教とは、ユダヤ人とはイエスを信じず一度は死に追いやった極悪人であり(略)「人間のクズ」とみなしている。」

「一部のキリスト教徒が「ユダヤ人どもがキリスト国家を破壊するための大陰謀を決議した」と邪推した。(略)この陰謀は絶対阻止しなければいけないという思想が(略)反ユダヤ主義(略)である。(略)ロシアで「ユダヤ人の世界征服(キリスト教世界破壊)計画」という文書が作成された。それがこの『シオン長老の議定書』(略)これは捏造であり」

マッカーサーも(略)アメリカ軍では元帥にはなれなかったのである。(略)アメリカ軍では無く、フィリピン国軍の元帥だったのだ。」

「他ならぬ儒教および朱子学の専門家が、本場の中国ですら「師匠への服従」は日本ほどひどくないと指摘している」