思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『サンデルよ、「正義」を教えよう』高山正之
☆☆☆☆
新潮社

やっぱり時事ネタは雑誌連載で読むべきだよなあ…。この連載のスタイルが、時事ネタを(学校やマスコミが伝えていない)歴史的事実に絡めてその裏にある思惑を書く、というものなので、同じ根っこの事件だと同じ内容が出てくることが度々あるからでもある。

「戦後、米国は沖縄をハワイ、グアムに連なる太平洋戦略拠点として占領を続けた。(略)そうすると沖縄の百二十万県民を米国の金でただで喰わせなければならなかった。(略)それで米占領地だけれど、特別に施政権を返すという口実で、本来占領する米国が支出すべき住民の福利厚生を日本政府に押しつけた。(略)日本人が大喜びすると米国はすぐつけ込んで、じゃあ米軍基地にかかる費用も日本が持てと言い出した。」

「あのとき毒餃子を急ぎ回収した生協がそれを日本の捜査当局ではなく、北京にこっそり引き渡した(略)なんで生協が証拠隠滅をやったか。今でこそ「配達するスーパー」のふりをしているが、本性は共産党系の資金集め組織だ。
 農薬まみれの安い中国産野菜を売り捌いて莫大な活動費を稼いできた。
 北京はいわば親分筋だから、子分として証拠隠滅は当然の務めだったわけだ。」

この生協の実態については調べてみないとなあ…。

セオドア・ルーズベルトという大統領が(略)狩りに行ったら珍しく坊主だった。不機嫌な大統領を見て周りの茶坊主が小熊を狩り出して大統領に止めをどうぞとやった。
 でも大統領は血まみれの小熊を可哀相に思って撃ちませんでした。
 瀕死のままうっちゃる方がどうかと思うが、これが美談に仕立てられ(略)「テディベア」と名付け(略)世界的に有名になった。」
確かに、瀕死のって部分があるかないかで、美談か気まぐれご都合主義か、全く変わってくるなあ…。

「子供ができたあと(略)夫が離婚を宣言した。(略)米国では離婚後も子供に会う権利が認められている。(略)白人男のためのこのルールは(略)ハーグ条約でもっと権威づけられていた。
 ということは、元夫が子供に会えるよう、彼女は日本にも帰れないということだ?」
ハーグ条約批准で拍手喝采していたマスコミではこういう欧米人の習慣には一切触れていなかった。

「江こうはチベットの城塞都市で、1904年、英国軍が侵入。激戦の末にここを落とし、ラサを占領する。(略)北京は英軍のチベット侵攻から百年目の2004年に江こうに「英軍大虐殺記念館」を造り(略)虐殺された人数も(略)南京と同じにチベットの人口以上に膨らんでいくはずだ。」