読んでいるその作品がミステリなのか、SFなのか、ホラーなのか、はたまたファンタジーなのか、読み終えるまで全く余談を許さない作家、というのはこの人と山田正紀くらいではないだろうか（少なくとも代表二人であることは間違いないだろう）。
夢を取り出して記憶することができる近未来、予知夢を見ることで有名な女と、技術者の物語。迫害された予言者、というところや、世間的影響、という点では『リング』シリーズの貞子を思わせる。序盤から終盤にいたる流れは、伝奇ホラー小説のそれでグイグイ進んで行く。
また、ネタバレになるのでどこがとは書けないが、クライマックスの展開はマンガ『封神演義』を連想させるSFチックなセンス・オブ・ワンダーに溢れている。あとかなり全体の展開が『デスダイバー』っぽいということも、こちらがマイナーなだけに、指摘しておいたほうがいいかな。
