思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『浜村渚の計算ノート 3と1/2さつめ ふえるま島の最終定理』青柳碧人
☆☆☆★
講談社文庫

数学ガール』とはやみねかおるのミステリを合わせたような本格ライトノベルミステリ。
数学が教育から消されたり、数学愛好家テロ組織、そして女子中学生の数学フェチという設定はいかにもジュヴナイル的だが、ミステリとしては、読者への挑戦状まで入った本格的なもの。
ただ、趣向として数学史的なトピックが続々出てくるのは楽しめたのだが、ホテルのメンバーを数学者のあだ名で呼ぶのには馴染めなかった。いちおう本名も出てくるし、どれも数学者として既知の名前ばかり。それでも馴染めないのだから、この演出は成功したとは言えないんじゃないかなあ…。『十角館』みたいなトリックも(必然性も)ないし。