思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

2012-01-01から1年間の記事一覧

『女性宰相待望論』加藤清隆 ☆☆☆☆ 自由社 『渡部昇一、女子会に挑む』と似たコンセプトだが、本書は現役女性政治家に限定しているという点で、より焦点が絞られていると思う。 それはもちろん、タイトル通り、初の女性総理が誕生するとしたら、この中から出…

『改訂・受験殺人事件』辻真先 ☆☆☆★ 朝日ソノラマ文庫 再読。 ポテトとスーパーが交互に書いた小説という体裁が面白い。ある意味では二人の探偵の推理合戦だし、なんだかんだ言っても最後に真相に達するのはポテトだから、探偵とワトソンが交互に書いたミス…

『嫉妬事件』乾くるみ ☆☆☆★ 文春文庫 我孫子武丸氏の解説によると『ウロボロスの基礎論』で描かれた(この解説読むまで忘れてたけど)京大ミステリー研究会の部室の本棚にうんこが置かれていた事件は実話なのだそうだ。乾くるみは京大ミステリー研究会ではな…

『罪火大戦ジャン・ゴーレ(1)』田中啓史 ☆☆☆☆ 早川書房 こんなバカバカしい、本格SFを書く人は他におらんなあ…。と改めて思う。 ま、バカSFといえばそれまでだけど。 名作『忘却の船に流れは星』と同じボリュームで、大風呂敷が広げられている。1巻とい…

『経済学のエッセンス』小室直樹 ☆☆☆☆ 講談社文庫『経済原論』などと同じく、マクロ経済学(ケインズ経済学)について詳述したもの。 ひとことで言えば、ヒトラー&シャハト博士が、多大な赤字をものともせず、公共事業によってインフレなき好況を実現した、…

『ほんとうは強い日本』田母神俊雄 ☆☆☆★ PHP新書 この本だけ見れば、政治・経済・軍事と、国家にとって最重要の事項について、まっとう・真っ正面のことが書いてある良書なのだが、どれもどこかで他の人(三橋貴明氏とかね)が書いてあることばかりなので、…

『ルー・ガルー(上)』 近未来SF。ラノベ。ぎこちない。表紙で損。例の改行(ページまたぎを避ける調整)が鬱陶しい(悪く言えば壮大な水増し)。

『新世界より』貴志祐介 ☆☆☆ 講談社ノベルス 単行本は分冊だったのに、後に出たノベルスが一冊というのが珍しい。二段組み900ページ超というのが凄い。 当時のミステリーやSFではランキング上位に入っていたので期待したが、結論から言えば、ダメ。 簡単に言…

『悪の民主主義』小室直樹 ☆☆☆☆ 青春出版社 「政党は、選挙公約を守らなければならない。また、主要綱領は、国民の同意(選挙)なくして変更することはできない。(略)この大原則が破られたら、政党政治の議会制民主主義ではない。(略)社会党は、自民党と…

『龍神の雨』道尾秀介 ☆☆☆☆ 新潮社取り立てて驚天動地の大トリックが使われているわけではなく、西澤保彦や貫井徳郎のような雰囲気だが、小説として充分純文学としても通用するクオリティは、あくまでも男女間の問題をメインにした連城三紀彦を越えているか…

『MM9 invasion』山本弘 ☆☆☆☆ 東京創元社 『MM9』の続編だが、ある種のほほんとしたテレビ版の印象が焼き付いていて、おまけにキャラ名をまったくと言っていいほど覚えてないのであったが、本作についてはそれほど大きな問題はなかった。 それは本作は設定や…

『消費税は民意を問うべし』小室直樹 ☆☆☆☆ ビジネス社 いつもの改題本かと思いきや、原本は竹下内閣の消費税導入の時に書かれたもので、野田内閣が消費税増税を目論んでいる現在、時宜を得た緊急復刊と言える。 まあ、内容的には『政治無知が日本を滅ぼす』…

開始。大東亜戦争肯定論 (1964年)林 房雄 番町書房 1964開始。彷徨える艦隊7: 戦艦ドレッドノート (ハヤカワ文庫SF)ジャック キャンベル Jack Campbell 早川書房 2012-01-25

『ダイナミックフィギュア(下)』 ネットの感想では、脚本みたいだというのがあったのだが、まさに同感。 淡白に事象だけを描写しつつも、台詞は大仰だし、内容は『エヴァンゲリオン』最終話「世界の中心でアイを叫んだけもの」ばりのカウンセラー系ときて…

『仕事に効く「兵法」』柘植久慶 ☆☆☆★ 講談社プラスアルファ文庫「これまでで最高の日本軍による占領政策だと思うのは、日清戦争の鳳凰城でのものである。(略)第10旅団(松山)の立見尚文少将(略)は部下の将兵へ物品購入の際、対価の支払いを厳命してお…

『ウォー・サーフ(下)』 解説にもあるように、下巻になってだいぶ読みやすくなった。 舞台が「天国」内に限定され、そこを探検することと恋人を取り返すことに目的が絞られるからだ。(こう書くと、伝統的な秘境探検もののフォーマットそのものだなぁ…) …

『ウォー・サーフ(上)』 近未来SF。 タイトルからして、サイバーパンク的な、または『ゴールデンエイジ』のようなゴチャゴチャした話かと思ったが、その中間的な話だった。 主人公が『クレヨンしんちゃん』ならぬボーと呼ばれるのに脱力だが、ストーリーも…

『日本いまだ近代国家にあらず』小室直樹 ☆☆☆☆★ 「日本人には汚職をデモクラシーのコストと考えるセンスがなかった。膨大なカネが掛かるものだということを国民が理解しなかった。」 「立憲政治の基礎(略) まず第一番目に、選挙公約は飽くまでも守らなくて…

『小室直樹の中国原論』小室直樹 ☆☆☆☆★ 徳間書店 96年の本。中国に進出した企業が契約違反、朝令暮改で苦汁を舐めるのはなぜか? 中国の歴史や社会制度など、根本から解き明かす快著。 「刺客(略)は中国独自の存在であって、アメリカの殺し屋(略)とも、…

『人狼城の恐怖 完結編』二階堂黎人 ☆☆☆★ 私の推理は、(作中の蘭子のセリフを真似れば)ある意味では当たり、ある意味では外れた。 作者のあとがきや笠井潔の解説では「余計な水増しは一切ない」とのことで、確かにペダンティズム的なそれはないが、長大な…

『人狼城の恐怖(2)フランス編』二階堂黎人 ☆☆☆★ 講談社文庫 フランスにある「青の狼城」で起こる連続(密室?)殺人事件を描く。 こちらではエストラル体なるナチスの研究で生まれた「人狼」が、死体に乗り移って連続殺人を行う様子が“書かれる”。 設定と…

『政治無知が日本を滅ぼす 近代国家の政治倫理を理解せよ』小室直樹 ☆☆☆☆☆ ビジネス社 1983年に『政治が悪いから世の中おもしろい』として出たもののリニューアル版。 ネロ、始皇帝、ヒットラーなどなど、歴史的に暴君とされている為政者たちの実情と実績を…

GHQ焚書図書開封5 ハワイ、満州、支那の排日西尾幹二 徳間書店 2011-07-30人間集団における人望の研究 二人以上の部下を持つ人のために (ノン・ポシェット)山本 七平 祥伝社 1991-02再読。戦争のリアル Disputationes PAX JAPONICA押井 守 岡部 いさく …

イスラムの読み方 なぜ、欧米・日本と折りあえないのか (Non select)山本 七平 加瀬 英明 祥伝社 2005-09

『なぜ日本は変われないのか 日本型民主主義の構造』山本七平 ☆☆☆★ さくら舎原題は副題のほうで、1976年に書かれたもの。 乱暴に言えば、『「空気」の研究』を日本の社会システムにまで拡大した論文と言える。 日本においては政治的問題と、社会全体の空気と…

『夏彦・七平の十八番づくし』 山本夏彦+山本七平 ☆☆☆★ 産経新聞出版社 1981年から2年に雑誌「正論」に連載されていた対談。 お二方とも大正生まれだけあってか、日本の風俗がどう変わったか、なくなったもの、変わったものは何か、というような内容が多い…

『トンデモフリーメイソン伝説の真相』 皆神龍太郎+有澤玲 ☆☆☆★ 楽工社 その存在じたいがトンデモと言っても過言ではないフリーメイソンについて、噂と、それに対する事実(真相)を解説したもの。 ただの解説本よりも、こういう形式の方が、虚実相半ばする…