『改訂・受験殺人事件』辻真先
☆☆☆★
朝日ソノラマ文庫
再読。
ポテトとスーパーが交互に書いた小説という体裁が面白い。ある意味では二人の探偵の推理合戦だし、なんだかんだ言っても最後に真相に達するのはポテトだから、探偵とワトソンが交互に書いたミステリとも言える。体裁としては、ホント面白いことをやってるなぁ…。40年前だぜ…!?
ミステリとしては連続見立て殺人で、その動機というか、小説としてのテーマが受験戦争。これは40年経った今も悲しいかな変わってな2なぁ…。
トリックは、現場検証的に書き込みが甘いぶん(高校生の素人探偵だから、しょうがないというか、ある意味リアルなのだが)、本格度、ロジックによる衝撃は少なめなのが惜しいが…。
『テレビに破壊される脳』和田秀樹
☆☆☆★
徳間書店
前著『テレビの大罪』の後は、類似本の執筆依頼がなく、ある意味の出版業界への影響力が指摘されているが、それほど過激な内容でもない。
ポイントだと思ったのは、日本には10以下のチャンネルしかなく、しかもハイブロウな大人向けの番組がないこと。
「チェルノブイリ(略)事故から20年後を追跡調査し、(略)ベラルーシでのある地域での先天性異常の発生率(略)、低汚染地域のほうが先天性異常の発生率が高い」
「「プラセボ効果」の逆が「逆プラセボ効果」です。
本当は害はないのに、「これは体に毒だ」と言って砂糖を飲ませると、実際に体を壊したり、頭が痛くなったりする人も三割ほどいるとされているのです。」
「慶應義塾大学で集団レイプ事件(略)の主犯の大学生(略)父親は医学の世界で権威のある地位にいる人物でした。そのような事情から、犯行当時にはすでに二十歳を超えた成人であったにもかかわらず、実名報道はされませんでした。(略)医学界というスポンサー筋から圧力をかけられると、レイプのような凶悪事件の犯人であっても実名報道がされないという実態」