思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

人狼城の恐怖 完結編』二階堂黎人
☆☆☆★
私の推理は、(作中の蘭子のセリフを真似れば)ある意味では当たり、ある意味では外れた。
作者のあとがきや笠井潔の解説では「余計な水増しは一切ない」とのことで、確かにペダンティズム的なそれはないが、長大な小説ゆえ、ワトソン黎人が躁鬱的に煽る怪奇小説的描写が何度となく繰り返されるのが鬱陶しくもある。顕著なのは、ほとんどそういう記述しかない129ページである。
単なる謎解きではなく、探偵たる日本人の蘭子をわざわざヨーロッパに招くことになった犯人たちとのサスペンスがあることが、多少水増し的要素になっているととる人もいるかもしれない。
この作品で引っかかったのは、密室殺人をする必然性は何もないこと、双子の城についてのトリックが、どうみてもバカミスにしか思えなかったことだ。