思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

新世界より貴志祐介
☆☆☆
講談社ノベルス
単行本は分冊だったのに、後に出たノベルスが一冊というのが珍しい。二段組み900ページ超というのが凄い。
当時のミステリーやSFではランキング上位に入っていたので期待したが、結論から言えば、ダメ。
簡単に言えば『アド・バード』プラス『粘膜兄弟』。ある意味ではこれで感想を終えてもいいくらいだ。付け加えるなら、千年後のこの世界では誰もが超能力を使える、というくらい。超能力バトルも、『人造救世主』などには劣るが、終盤になるとそれなりに面白く感じた。
中盤の超能力の暴走は、『AMONデビルマン黙示録』みたい。
ことに前半は『アド・バード』っぽさが強く、かなり退屈だった(同書も世間的評価は高いので、そちらが好きな人はどうぞ)。
フィクションなので目くじら立てる必要もないのだろうが、未来の日本の皇帝たちの諸行が、まんま支那の歴史なのは感心せんなあ…。
バケネズミの正体も全く意外性なかったし、悪鬼と業魔の発生理由に至っては、裏表紙アオりに仰々しく書いてあるのに、納得いく説明はなし(特に業魔に関してはフォローなしに等しい仰天っぷり)。