『ダイナミックフィギュア(下)』
ネットの感想では、脚本みたいだというのがあったのだが、まさに同感。
淡白に事象だけを描写しつつも、台詞は大仰だし、内容は『エヴァンゲリオン』最終話「世界の中心でアイを叫んだけもの」ばりのカウンセラー系ときてる。
一、続、十など、まぎらわしいネーミングセンスは許すとしても、文章の拙さはいかんとも…。下巻でも明らかに間違った箇所がいくつかあった(もう挙げないが)。
話としてはやっぱり『エヴァンゲリオン』で、最後にはラオウまで入ってくる(^_^;)
読後感としては、「風呂敷を広げるのはなかなか上手いが、畳み方は全然ダメ」というところか。
紹介文の「リアルロボットもの」というのも正確とは言えず(いちおう作者も意識して書いたようだから、編集サイドの販売戦略だとは言えない)、ファーストコンタクト系戦争SFというのが妥当か(ストーリーに加えて、ダイナミックフィギュアの中身のせいだが、まあ後者については、ネタバレになるから、という見方もできる)。
個人的に評価するとしたら、あっさりと主要な登場人物が死んで行くことだが、脚本的な浅薄な描写によって、ドラマチックさは弱いのが惜しい。