思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『MM9 invasion』山本弘
☆☆☆☆
東京創元社
『MM9』の続編だが、ある種のほほんとしたテレビ版の印象が焼き付いていて、おまけにキャラ名をまったくと言っていいほど覚えてないのであったが、本作についてはそれほど大きな問題はなかった。
それは本作は設定や登場人物を引き継ぎつつも、メインは前作の最後に活躍したヒメと、実質的に初登場と言っていい(?)高校生を軸に展開する内容だからだ。
東京スカイツリーを舞台に繰り広げられる怪獣バトル。
巨大怪獣を操るというのは都合良すぎる気がするが、ウルトラマンゴジラシリーズでは、考えたらおなじみの設定だった。
全体的にラノベ調な軽さがある展開だが芯となる設定はしっかりSFしているのは(敢えて比較しなくてもいいのだが)『空の中』『海の底』以上。
怪獣邀撃戦が平成ガメラしてるのは、あちらがいろんな意味で金字塔なだけに避けられないところか。
「「大本営発表」で国民を騙せたのは昔の話。今の日本人は情報の多くをネットから得ているし、自由に情報を発信できる。一億総リポーター時代だ。一般市民が撮影した特ダネ映像がすぐにネットで見られるのだから、いくらテレビや新聞を押さえたって、情報はどこからか漏れるに決まっている。おまけに、ここ数年のいくつもの不祥事で、「マスゴミ」の伝えていることは事実と食い違っている場合が多いことを、すでに多くの人が学習してしまっており、テレビや新聞は信用されなくなってきている。
 今や情報統制は無意味なだけでなく、危険なのだ。ネットの情報は裏が取れていない不正確なものが多いうえ、感情に流れやすい。政府が正しい情報を流さなければ、デマばかりが広がる。それこそパニックが発生するかもしれない。」


『鳥はいまどこを飛ぶか』山野浩一
☆☆★
創元SF文庫

解説や裏表紙アオりによると、どうやら巨匠らしいが、全然分からなかった。
60〜70年台に書かれたものを集めた短編集だが、ほとんど戦後すぐの作品かという感じ。
そう思わせる要因の一つが科学/SF的用語がほとんど登場しないことで、内容が広義のミステリー、良く言っても幻想文学にしか感じられなかった。