思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『オーガスト・ウォーズ』

『オーガスト・ウォーズ』☆☆☆★

色んな意味でへんな映画だ(^^;)
まず、メインビジュアルに出ているロボット。映画冒頭から、ファンタジーみたいなピクサーみたいなヒーローロボと、デセプティコンみたいな悪のロボが戦う。
……と思いきや、これが主人公の息子の脳内妄想なのだ(爆) これは、最後まで、少年がピンチになるたびに画面に出てくる。完全に妄想なので、現実には何の影響も及ぼさない(^^;) 要するに、ロボCGがなくても全く問題ないのだ。最後になると、主人公が成長すると、それらと決別するのか、というとそうでもない。完全に、オリジナリティを出すための味付けでしかない。もしかしたら、ロシアでは人気がある作品だったりするのかな?
本作は、ざっくり言うと、グルジア紛争が勃発し、はぐれた息子に会いに向かう母親の話。
ハリウッドでよくある、父親か、妻子を救いに行く設定では、アクションや銃器を駆使してサバイバルして行くのとは異なり、本作の母親は、とりあえず行き先てま会った兵士のベルトに捕まってくっついて行くだけの無力な存在。要するに、本作は、ベースとしてリアルな現実がありつつ、少年の妄想でエンタメとしてのケレン味で商業映画としてのバランスを取った(プロデューサー視点?)、へんな映画なのだ。序盤の彼女ははっきり言ってとても感情移入できないが、戦争という渦中にもまれることで、見られるキャラになる。美人が埃まみれになることも合わさっているのかもしれない(私はそんなフェチはないのに)。
ロシアの作戦会議シーンもあり、プーチン大統領役も実名で登場する。ただ、俳優は全く似ておらず、どからと言えば、メドベージェフのほうがまだ近いくらい。会議の席上には、プーチンにそっくりの俳優もいるのに、なぜそっちをプーチン役にしなかったのかかま謎だ(´Д`)
前置きが長くなったが、「秋山優香里の戦車映画講座』で紹介されていたように、本作は戦車映画。ミリタリー映画として十二分な魅力がある。兵士の活躍も勿論で、道路封鎖用の十字鉄骨を数人で抱えるところなんて初めて見て、あれが鋼鉄で出来ているんだと初めて分かった(^^;)
ジープ的な車輌や、B MP装甲車も続々映る。
個人的には何と言ってもT−72がメチャ格好いい。
意外と各部がアップになるようなカットも多く、小型のリアクティブ・アーマーを張り詰めたスタイルは、本作を観たら、誰もがその格好良さにやられるんじゃないたまろうか(^^;)
ただ、元がソ連で同胞ということもあるのか、色(迷彩)が似ていて、兵士ともども、どっちが敵だか味方だか分からないが、まあそのへんはあんまり問題じゃない。戦争映画ならともかく、本作は主人公にとっての災害サバイバル映画だから。
このタイプのT−72のプラモが作りたくなる一作。