思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『三度目の殺人』

『三度目の殺人』☆☆☆★

見る気はなかったのだが、まんまと宣伝でのミステリー風味だけで、「観てみよう」と思(わされ)った。
冒頭で殺人、容疑者・役所広司と、(ダブル)主人公である弁護士・福山雅治が合う、というスパーディーな展開。
まあ、法曹ものなら、よほどダメダメな映画じゃない限り、引きつける要素があるので、だいぶ中盤は得してる部分がある。
本作の特徴は、いかにも怪しげで、真相への手掛かりになりそうな発言が次々に出てくるが、それらはあくまでも断片で、観客への説明的なところはほとんどない。
おまけに、それは最後までかわらかのだ。
それは、「リドルストーリー」というフィクション的な演出でもなく、「真実」は、フィクションならともかく、「現実」ではそうわかりやすいものではない、というのが本作のテーマだから。
もちろん、『羅生門』からの、そのタイプの映画は色々あるし、不条理をテーマにした映画もあるが、それを両方されると、観客はカタルシスを抱くところがなくなってしまう(^^;) もちろん、
本作のどんでん返しは、ミステリーと思わせて(結構は100パーセント、ミステリーなのだが)、やっぱりいつもの是枝映画だった、というところ。