思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

パラノーマル・アクティビティ 第2章

☆☆☆★

ややこしいが、パート2ではないらしい。正式タイトルは『パラノーマル・アクティビティ 第2章 Tokyo night』というらしい。
要するに、日本版(日本製)『パラノーマル・アクティビティ』だ。なんとなく『ワイルド・スピード トーキョー・ミッション』みたいな感じ?(^^;)いや違うか。
内容的にはほぼオリジナルのまま。ただし、オリジナルではカップルだったところを、姉弟にしているので、色々と無理が生じている。中でも、骨折した姉の看病と怪奇現象のためとはいえ、姉の部屋に監視カメラを仕掛けるのは無理かある。そもそも、姉がアメリカから帰って来た時点で私生活全般をカメラで撮る、というのも。(そう考えると、『アパートメント149』がいかによくできた設定だったか、改めてよく分かる)
特に、序盤の、弟が姉の部屋に監視カメラを一回だけ撮影させて、と言っておいて、2度延長するくだりは、グダグダもいいところで、うんざりさせられた。ま、ファウンド・フッテージとしとはリアルなんだけどねぇ。
オリジナルとの相違点として、外部の介入が増えている点がある。まず、友人が遊びに来るが、霊感があるという女が、文字通り泡を食って退場。オリジナルでは何の役にも立たなかった霊媒師だが、本作では神主がお祓いして、結果的に、数日は霊を遠ざけることに成功したようだ。てっきり、序盤でテーブルのコップが突然割れた(びっくりした(^^;))ように、お祓いをうけている姉弟の後ろにあるガラスの容器がお祓い中に砕けるものだとばかり思っていたのだが……。それじゃ『来る』とおんなじか(^^;)
ラストへの展開は、良くも悪くもオリジナルと同じ。ここまで来れば恋人も姉弟も一緒なので、その関係性は気にならない。
最後の夜は、たっぷり闇を映しておいてからの、突然こちらに向かって顔が向けられるのだから、これはもう怖いに決まってるやろ!?(@_@) というところ。うまいとかヘタとか関係なく、このシチュエーションなら、誰が作っても怖くできるんちゃう? というくらいに(^^;)
オリジナルとの違いは、登場人物が増えて賑やかになったこと、フード演出が巧みであること、作中で友人か言うように、姉がしょうゆ顔の美人(という言い方はしないのかな?)であること。オリジナルに対する日本版として考えれば、よくできているのでは? 比較するもよし、日本人ならこちらだけ見るも良し。知り合いはいないけど、アメリカ在住のアメリカ人にオリジナルをさしおいて本作を薦めるのは躊躇われるけど。

以下ネタバレ

展開そのものは割とオリジナルに忠実なので、終盤の展開が予想できてしまうのは痛し痒し。しかしながら、それでもしっかり怖いんだから、問題は何もない、とも言える。日本のシリーズ初見の観客がターゲットだとすればなおのこと。
アメリカ版コックリさんとも言えるのか知らないが、ビジャボードをオミットしたのも良い選択。その代わりとして、手に持たせた十字架が、手から落ちたことで姉が死んだことを示し、なおかつそのままのワンカットで、十字架が燃え、しばらくして窓が漸次割れるのは、まさしく押井守が『メソッド』で書いていた、アニメにおける「畳み掛けるような作画」に相当する効果。ここは独自性という点でも、本作の白眉だ。