思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

お早よう

☆☆☆

小津安二郎監督。カラーなので、『東京物語』より後の作品であることは間違いないが、笠智衆が、明らかに『東京物語』より若いのが凄い(同作の老けメイクと、笠智衆の演技が)。
まず、屋外カットでの構図が興味深い。遠近法ではない、日本画のような、望遠レンズで撮ったような画面。
内容は、しばらく掴みかねていたが、近所の子供どうしと、その親との完結など、ご近所ものホームドラマ。しかも、コメディ。小津安二郎というと世界的な巨匠、というイメージがあったので、コメディだとはしばらく認識出来なかったのだ。そうと分かれば、『サザエさん』を見るように、気楽に観ればいい。
最後まで観てもよくわからなかったのが、主人公の家庭にいる、若い女の人。出版社に勤めているようだが、笠智衆夫妻を「お兄さん、お姉さん」と呼んでいるので、てっきりサザエさんと波平みたいな歳の差兄弟かと思ったが、そうでもない。字幕はそうなってなかったが、どちらかの妹が下宿しているってことなのかなぁ。
テーマは明瞭。なにせ作中でセリフで説明してくれるからね。「お早うとかいいお天気ですね」なんてあいさつは、子供からすれば無駄な会話だが、社会の潤滑油のようなものだ、ということだ。
ある意味では何も面白くないのだが、落語を聴く(見る)ような気持ちで観れば、昭和レトロ的な楽しめるだろう。
某レビュー動画で、構図をきっちり決めるタイプの小津安二郎監督は、現代に生まれていたらアニメ監督になっていたのでは? とあったが、そう言われると、喋っている人物をほぼ正面(ただしカメラ目線ではなく、やや外していて、対話感を出している)から撮って、いちいちカットを切り替える手法は(主にテレビ)アニメのそれだ。