思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

それから

☆☆★

世間的評価は高いみたいだが、やっぱり森田芳光作品は私には合わないのかなぁ(´Д`)
夏目漱石の古典の映画化。主演は松田優作藤谷美和子松田優作も私的に、何が良いのかさっぱりわからない俳優のひとり。働きもせず、見合いも断り続けている高等遊民を演じている。
確かに、ある種幻想的というか、耽美的な画面構成は魅力的なのは認める。でも、セットの場面は、仕方ないとは言え、空間的広がりが全然ないし、普通の場面のカット割も、とりたててどうこう、という魅力は感じなかった。せっかく名優・笠智衆が出ているのに、本作においては特に魅力を感じなかったなぁ。要する、その80年代のオリジナルビデオを観ているような感覚なのだ。これはまあ、本作が80年代の映画だから、仕方ないというか、当たり前なのかもしれないが。
主人公が、ほとんどのシーンでタバコを吸うのも、演出力がないから、間が持たないからじゃないの? と言いたくなる。半分は嫌煙家の私の拒否反応かもしれないが、場面転換しても、ほとんどの場面で、というのは尋常ではない。もしくは明確なテーマに関わる演出なのか。
また、そもそも原作がそうだから仕方ないのか、映画に際して改変したのかわからない(原作は読んだのかどうかも覚えてない)が、主人公にはまったく共感できないし。
本来なら、開始15分くらいで観るのを打ち切っても当然、というくらい訴求力がなかったのだが、1.7倍速にして見通したのは、藤谷美和子の美しさだ。押井監督の言う、「映画は女優を美しく撮ってナンボ」という点においては、本作は充分によくできている。森尾由美も出てるし。

以下ネタバレ

てっきり、小林薫藤谷美和子は兄と妹で住んでいるのかと思ってたけど、夫婦だったのか(^^;)
ラストは親友の妻を好きになったのがバレて勘当された主人公が、トボトボ歩くカット。「え? これで終わり?」という感じ。まさしく「それからどうした?」という、肝心なところが抜けた感じ。これまた、原作通りなら仕方ないけど。