思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

お茶漬けの味

☆☆☆

小津安二郎監督。夫に嘘をついて女友達たちで旅行に行こうと画策する。ウーマンリブ的なフェミニズム映画? と思わせつつ、実は分かってました、という、冴えない男と思わせて男にも、芯があった、というオチ。タイトルからしてネタバレというか、「どういう経路で着地するか」という、カウントダウン式の作品。
今回も助演女優として羽野晶紀似の人が登場している。
タイトルから明白なように、まごう事なきフード演出映画。物語上の頂点としての、夫婦でお茶漬けを食べるシーンに向けて、どう持って行くのか。少なくとも、観客にとっては、逆算/カウントダウン式のお話といえる。
制作当時の世相だったのか不明だが、中流家庭なのに住み込みの女中さんがいる、というのが時代を感じさせる。
本作は、四者四様の女性と、一人の男(主人公)の物語。と言っても四角関係ではなくて、一人の妻と、(女だけで泊まりで温泉旅行に行くほど仲の良い)女の友達。
リベラルな妻だが、夫の海外出張や、女友達との対話を通じて、保守的な良さを再確認する、という話。