☆☆★
宇多丸師匠の映画話の中で、何回か出てきたので、気になっていた作品。
私的な観点からすると、『アオイホノオ』みたいな感じ。主人公を熱血でなく、不思議ちゃんにしたような。とりあえず80年代という時代そのものが準主役といえる。映像も、最近見た邦画であったような、フィルム撮影したような荒い画質。
ネタバレなしで結論だけ言えば、あんまり面白く無かったかな。
不思議系で、何の取り柄もなさそうな横道に、超お嬢様(吉高由里子)が惚れるなんて、あり得ないでしょ。このへんのご都合主義も『アオイホノオ』っぽい(リアルの島本和彦は当時あんなに女っ気はなかったそうだが)。
以下ネタバレ
横道世之介が、名前からしても浮世離れしていて、それこそ島本和彦の短編『ヤマモト』のような(という表現も、以前に他の映画の感想で書いたなあ)、実在を疑うような描かれ方だったので、てっきり実家も存在しないのかと思いきや、長崎の実家に行ったりするし。かと言って、『サバカン』みたいな、半自伝風(自伝かどうか知らんけど、自伝風の体裁)でもないし。まあ、途中から、10年後みたいなカットバックがちょこちょこ挿入されるのは、それ的な効果を狙っているのだろうけど。公的というか、外部の視点というか、小説でいう地の文的な、ニュースで横道世之介の交通事故の報道があるので、幻オチではないし。
要するに、時代を超えた観客への普遍性はなくて、同世代の人しか共感できないんじゃないかなぁ(´Д`)