思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

燃えよデブゴン 東京ミッション

☆☆☆

ドニーは『燃えよドラゴン』のリメイクもやってるが、サモ・ハンの『燃えよデブゴン』をリメイクしたのが本作。リメイクっていうか……(言葉を失う)というのが正直なところ。
なんせ、デブゴンは元からデブだが、本作は普通の体型のドニーが、失恋と左遷のショックで激太りする、というのだ。
映画の半分以上を特殊メイクでやり遂げたのはエライけど(^^;) とはいえ、常に長そで長ズボンなので、特殊メイクは顔だけ。画面全体がまるでこの前観たインド映画のように、妙にハレーション気味のフィルター効果がかけられているので、特殊なメイクの境目は目立たない。また、作品全体がファンタジックな雰囲気を醸し出す事にもなっている。
舞台となる東京の中華街の一角が、まるまるセットであることもそれに輪をかけている。まあ、このへんは地元民たる日本人だけが感じることかもしれないが。
監督の谷垣氏によれば、アクションのために、道路幅も、家の高さも低く作ってあるそうな。これは、『チョコレート・ファイター』のアパート外での戦いも同じだったのかもしれず、別に良いのだが。ある種の箱庭感というか、閉じた世界になっている。クライマックスの東京タワー上での戦いも、背景がCCなのが丸わかり、つまりセットを強く意識させることもあいまって。
作品のトーンは、80年代の、古き良き香港映画ティストで、コメディ・アクションと言って良く、暇つぶしに気楽に観るにはバッチリ。竹中直人のボケ倒し演技も合っていた。ただし、いくらなんでも、ヘリを1日で操縦免許取った、というのは引くレベルだったが(^^;)(しかもクライマックスになって!)
あと、根本的な問題点として、ドニーにコメディ演技はできない、というのは、真面目に観れば引っかかるかも。脚本つまり状況やセリフではコメディなのだが、顔やリアクションはサモハンやジャッキーには、やはり遠く及ばない。
肝心のアクションだが、イップ・マン的なパンチ連打や、サイドキック左右連続など、そして得意の長物、トドメのヌンチャク! キレのある、そしてジャッキー的な、周りにあるものをなんでも使った素人感は楽しい。が、これまた真面目に考えると、現役警官の殺陣がこれでいいのか? とも思える(^^;)