思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

アパートメント:143

☆☆☆★

怪奇現象が頻発するとある家族のアパートにおとずれた、3人だけの会社が、記録と調査のために設置した何台ものカメラの映像だげ繋ぎ合わせた、擬似POV形式。逃げも隠れもしない『パラノーマル・アクティビティ』のオマージュというか、それを踏まえて、その上を行こうというその意気や良し、という作品。
本作ではさらに『死霊館』や『エクソシスト』など、臆面もなく手当たり次第にパロって来ている、と言われてもおかしくないところを、逆に「全部入り」的に、長所に変えるほど、うまく取り入れている。
事件が終わって、カメラをひとつずつ取り外して行くのも美しい構成。そこで終わっていれば良かったのに、ここにも「全部入り」が!(^^;) ラストだけは、好き嫌いが分かれるかも。
濱口竜介の短編『』にも通じる、インタビューシーンもあったりする。
これ、ユーチューバーによるホラー関係のおすすめ動画なんかでも聞いたことないが、隠れた良作ホラーと言ってもいいんじゃないかなあ。

以下ネタバレ

乱暴に分類するなら、本作は『死霊館』を『パラノーマル・アクティビティ』の手法で撮ったもの。
悪霊の表現は、女の子が白眼を剥いているくらいだが、背中を反らして空中に浮いたり、『エクソシスト』も入っている。
随所にビックリ演出もあり、心霊写真からポルターガイスト、声から、向かい風など、徐々にエスカレートするのも、いい感じ。とどめが、まんま『パラノーマル』的な女オバケが画面に迫るラストカット。先に書いたように、順番にカメラを切っていって、最後のカメラを切ってエンドロール、としたほうが美しかったのになぁ……。あくまでもホラーに徹したという意思表示か。
幽霊だか悪魔だかにやる怪奇現象の発端が、亡くなって妻が淫売で、娘が、学校から帰った時に、男を連れ込んでいるのにで食わしたことによることが終盤になって博士の推理で分かる、というミスター風味もうまい構成。