思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

チェイサー

☆☆☆
韓国のサイコキラーもの。
主人公は、元警官だが、現在はデリヘル店のオーナーというおっさん。所属の女たちが、次々に消息を断つので、原因を調べていると、連続殺人鬼に行き当たる。
サイコな殺人鬼と、その躊躇ない暴力シーンが見どころだが、『オーディション』のように、そこまでは具体的な拷問場面はない。人を殴るシーンでも、殴る方しか映さず、返り血が跳ねる、という描写にとどめている。
韓国映画お得意の、リアルな(痛そうな)血糊は健在。
主人公自身が、マル暴(外国ではそうは呼ばないだろうけど)かヤクザみたいな乱暴者なので、感情移入しづらい。拉致被害者や、その娘(中盤以降、主人公とともに売春仕事に出た母親を探す)に感情移入してもらおう、という設計なのだろうか?
そういえば、序盤に、市長に糞を投げた(いかにも韓国らしい)犯人が、終盤までちょこちょこ絡んで来るが、何の意味があったんだろう? 単なる製作者の思想信条による政治批判??
ミステリー的に観ると、倒叙ものとしての面白さがほとんどないのが難点。終盤になると都合良く手がかりが舞い込んで来る、というのはホラーではお約束だが……。
ラストカットは、ちょっと『カメラを止めるな!』を連想したなぁ。感情的には正反対だけど。
なお、字幕が省略(文字数をケチって)されてて、わかりづらかった。

以下ネタバレ

本作で唯一と言って良いほど手放しで良かった点が、拉致されたデリヘル母が、監禁場所から逃げ出したものの、見つかって殺されてしまうこと。そもそも、風邪で仕事を休むつもりのところを主人公に無理矢理働かされ、娘のためにも仕方なく仕事に出た何の罪もない女性が生首になって、水槽に沈んでいる、という鬼展開。とどめには、サイコ野郎と揉み合う主人公が、押されてその水槽を割る(^^;)