思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

黄龍の村

☆☆☆★

低予算ながら勢いのある格闘シーンで有名な坂元監督作 作品。本作は新分野として、『犬鳴村』から始まる「村シリーズ」みたいなホラー?
冒頭の、ファウンド・フッテージ風のスマートフォンによるパリピー若者のキャンプ旅行映像には心が萎えかけたが、そこを耐えれば『カメラを止めるな!』ではないが、坂元監督らしいサービス精神あふれる話になる。
スマホ映像が縦長で、画面の真ん中三分の一以外は黒ベタだし、手ブレはあるし、色んな意味でキツいが、そこから普通の劇映画である第三者視点になると映画館のように両サイドの画面が広がってゆく演出はまあ、ある種の映画的な解放感がある。舞台として開放された平原とかじゃないので、カタルシス演出としては片手落ちなのが残念だが。
テイストとしては、『最強殺し屋伝説国岡』と『ベイビーわるきゅーれ』を文字通り、足して2で割った感じ。

以下ネタバレ

序盤は、まさしく「村シリーズ」や『ミッドサマー』のような、独自の因習のある村の論理に巻き込まれて惨劇に遭うノーテンキな若者、という正統派ホラー。
でも、序盤のスマホ映像とかでは控えめなのだが、「国岡」が映った時点で、「これは終盤には国岡が大暴れするんだろう」ということは、坂元監督ファンなら完全に先が読める、ネタバレになっているのが惜しい。
ところが、実際には国岡(本作では違う役名だが、ラストには『最強殺し屋伝説国岡』と同じく殺し屋専門になろうか、というねじれたリンクを匂わせるおファンサービスもある)だけでなく、10人くらいの若者グループの殆どがソフト(格闘)もハード(武器や防弾チョッキ)も準備万端の復讐者たちだった、というスケールアップ型の続編(作品でなく、監督のフィルムワークス的に)といえる。たぶん、国岡以外に過去の作品でメインキャストとして出ていた俳優はいないと思うが、女性ファイターたちは、ルックスも初登場から、一目で「予算が増えたな(^^;)」と分かる、可愛さというか、芸能人オーラが出ていた。
アクションも、伊沢沙織さんほど超絶ではないものの、充分に満腹できるレベル。
ラスボスであるゴリラみたいな(だってゴリラの鳴き声をSEで当ててるんだもん(^^;))男は、『宮本から君へ』の悪役だった人?