『聖なる鹿殺し/キリング•オブ•セイクリッド•ディア』
☆☆
何のこっちゃ分からん系の映画。ネタバレなしで言うと、外科医の主人公につきまとう青年が、その家族とも親しくなってゆくが、それ事態が、映画全体を不穏な空気を濃くしてゆく。そのサスペンスそのを描いて、理由とか結果は二の次と言えるかも(^^;) これは、失敗とか駄作というよりは、狙って、不穏さだけを全面に押し出したのでは? 例えるなら、直接的な殺人のない『ノーカントリー』みたいな感じ?
知ってる人は主人公の妻役のニコール•キッドマンくらい。ヌードになったりと、ヨーロッパ系の雰囲気もあったが、ひとことで言って面白くはなかったかな。
原題は『THE KILLING OF SACRED』で、直訳すれば『聖人殺し』?(どうやら、ギリシア悲劇がベースらしく、人口に膾炙しているそれの邦題が、この映画の邦題になっているらしい)
以下ネタバレ
最後のたとえは、映画の途中までの話で、ラストには殺人は、あるにはある。なので、正確には本作は「ある男が一人のヒトを殺すに至ったのは何故か?」という映画。どうせ頭に袋を被せて、顔は見えないんだから、この射殺シーンだけを冒頭においても良かったと思うけどなぁ……。
後は、主人公と青年の関係性。それを伏せておいて、少しずつ明かすことで、ミステリーっぽく仕立てている。
最初は親子? と思わせて、次はゲイのカップルかと疑い、次に医療ミスの贖罪、最後には脅迫者と追われるもの、と変化する。
ほとんどのシーンで、ゆっくりとカメラ(自体なのか、ズームなのかはよく分からん)を引いたり、アップにするのは、観終わっても作品のテーマと関係するようには思えなかったので、単なる監督か撮影監督の手癖なのかも。特に、全てズーム、とかならまだ分かるけど、アップになったり、引いたり、シーンによってバラバラだから。
ちなみに、30分以降は早送りで観たのだが、画面にのズーム/引きがより明瞭だったのは、二次的な効果。
なお、ストーリーは、原因不明の病気で、家族がひとりずつ歩けなくなり、最後に残った主人公は、誰か1人を殺せば治る、というホラー映画の呪いのメタファーみたいな展開•設定である。