思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

サイレンシング

☆☆

アメリカの田舎の山地に流れる川を、女性の死体が流れるオープニング。
どうやら、この山中には、若い女性を襲う殺人犯がいるらしい。主人公も、そんな娘がいて、いまだに尋ね人チラシを貼ったりしている。
別れた妻だの、微妙な関係の女性保安官(情緒不安定な弟がいたり)だのが出てくるが、要するにサイコな連続殺人犯は誰? という映画。
フーダニットとしては、ひとひねりふたひねりあるものの、全体的には凡庸。これと言って、飛び抜けた要素はなかったなぁ。
序盤から中盤に出てきたガジェットが、終盤で次々に再登場するなど、脚本の構成はよくできてはいるけど。
あと、主人公がランボーか!? というくらいタフ。序盤で胸を矢に刺されたら、自分で抜いた上に、家で針と糸で自分で縫うし、中盤には、腹を拳銃で撃たれる。それでも、毎回、ちょっとはしかめ面を見せたりするものの、ほぼ何不自由なく活動している。カバンを刺されたほうに紐をななめがけしているくらい、記録がテキトーとなのか、だれも整合性を気にしていないのか……。
タイトルの意味ももうひとつ明瞭ではない。原題も『SILENCING』なので、邦題をつけるなら、さしずめ『森は黙して語らず』とか『消息不明』とか?
敢えて良いところを挙げるなら、先の(脚本というより)構成の伏線回収と、オープニングの、森の中の川を流れる屍体を真俯瞰から撮ったシークエンスの美しさか。