思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など


『映画表現の教科書 名シーンに学ぶ決定的テクニック100』
ジェニファー・ヴァン・シル著/吉田俊太郎訳
フィルムアート社

カメラワーク、照明、編集、音響、小道具など、映画演出にまつわる技法を紹介したもの。
それぞれについて、1つの映画の画面を、3、4カット掲載しているのはありがたい。ただ、同時に掲載している脚本のカット(シーン)と必ずしも直接対応しておらず、それ以外の解説にも、写真に該当する記述との対応がわかりづらいのが難点。おそらく、学校の教材か、テレビ番組のそれを書籍用にチューニングせずにやっむけで転用したんじゃないかなぁ。
お手本として紹介する映画も、星の数ほどある映画があるのに、1つの映画から幾つも載せているのはいかがなものか。『市民ケーン』のように、エポック・メイキングな映画が多いのは頷けるところではあるが。下手すると全部ハリウッド演出じゃない?
映画技法解説なら、押井守の『methods』のほうが遥かにわかりやすく、面白いかな。
幅広い映画的な技術論を、体系的に知る事ができるのは良かったが。
本書は、基本的な脚本家を目指す人向けぽく、上述のように紹介されている全ての映画の該当する部分をの脚本が掲載されている。素人からすると、脚本というのは、会話と簡単な情景説明だけが書かれているものだと思っているのだが、脚本家によっては、構図や編集、音響までも指定されることがあるというのが驚きだった。