思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

暗殺の森

☆☆☆★

見たような気になっていたが、それは同じ監督の『暗殺のオペラ』だった。「沈黙」シリーズよろしく、この監督の作品はなんでも「暗殺」なのか?
同作にあった、全てのカットの構図が決まりまくっている感じもなく、色彩的な見どころも、エピローグのドラクロア的な、闇に浮かぶ絵画的な色彩くらい。
ムッソリーニ政権下で、ファシストを暗殺するフランスから夫婦で派遣されたスパイが主人公。
何より、その場面がフランスなのかイタリアなのか、混乱しっぱなし。イタリアなのにフランス語を話したりするから。
主人公がかつての恩師を暗殺する任務を帯びて、家を訪れると、若い妻が出迎え、妻ともども親しくなる。
主人公のスパイの相棒がマンガネッロだかなんだか、マンガみたいな名前なのがおかしかった(^^;)

以下ネタバレ

親しくなった教授の妻が、森の中で、教授に続いて殺されるあたりが本格スパイものらしい非情な展開。ただ、本命の教授のほうは、大の男が、数人がかりで、10回くらい腹を刺すという、とてもプロとは思えない不細工な手口なのは気になったかな。
ラストは、主人公が幼い時にレイプされた挙句に殺した男が生きていて、それを終戦後に地下で見つけた主人公が、共産主義達のなかで彼を告発するという、シュールなのか不条理なのか、悲劇なのかよく分からん幕切れ。
フランスとイタリアの赤化と反共の歴史を知らないとよく分からんオチだった。