思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『ハンターキラー 潜航せよ』
☆☆☆☆

潜水艦映画。あちこちで評判が良かったので、放送を期待はしていた。
U-571』みたいな映画だと予想していたのだが、意外にも『レッド・オクトーバーを追え!』だった。
本作はもちろん同作と『ネイビーシールズ』を合わせて、『バトルシップ』風味の味付けをしたもの。
演出でのリアリティはありつつも、ストーリーは娯楽の王道を突っ走った面白さ保証つきの超B級映画だ。

ストーリーは、最初は紛争海域に派遣された米原潜が、ロシア潜水艦のクルーを救助してみたら、米ロ激突の最前線に巻き込まれてしまう、というもの。クーデターものであることは、中盤あたりに明らかになる。
現実的かどうかはB級娯楽映画だから置いておくと、実に論理的に無理・無駄のない十分に及第点をクリアした脚本であると言える。特に、最初は潜水艦乗りだけの話だと思っていた、特殊部隊のエピソードがストーリーの片輪にしっかりグリップしてくるあたりには唸らされた。これは、最初は離れていると思わせておいて、文字通りラストにはぴったり主人公の乗る潜水艦にくっつくのだ。
もちろん、ロシアの国防相がクーデターを起こすのはなくはないとしても、ロシアの大統領がメチャデカくてムキムキだとか、『インディペンデンス・デイ』か『ホワイトハウス・ダウン』か? という豪快すぎる展開も、逆に潔い(^_^;)

リアリティという面では、細部の描写。特殊部隊の方は、『ネイビーシールズ』に引けを取らない、本作だけ見れば十分に「スゲーリアル」と思わせてくれる。トランクを別に落とした上で、バカでかい荷物を背負って敵地に降下するところ、スマートフォン的なもの(そのもの?)をスコープ代わりにする、射撃音や被弾痕も納得(いや、銃器マニアからみたら分からないけど、私のような低レベルミリオタからすれば)の仕上がり。
潜水艦でも、『沈黙の艦隊』を完全実写化したような、最初に『ガンダム0083』を観たような興奮がある。特に、潜航時に物につかまっていない人が斜めに立っているように見えるカットは素晴らしいセンス・オブ・ワンダー! ロケット弾を至近距離で喰らったらどうなるか、その衝撃の凄さとか。それや魚雷の爆発でも、一瞬爆圧で真空状態になるので直後には吹き戻しがあることなども描写(軍事・科学マニアなら分かる、絶妙な塩梅で)されていて、これまたビンビン来た。爆発の衝撃で落下した魚雷、駆逐艦からの発射時の魚雷など、CGも含めた物の重さの演出も巧い。
そう、本作はテレビ画面でもCGであることが分かるのに、レイアウトの格好良さと演出で、チープさ(物理的な軽さ、存在感の両方とも)を感じさせない。
レイアウトでは、先の特殊部隊の空挺シーンでは雷雲の中に突っ込むなど、アートボードが美しく、それをきっちり本編に取り込んでいる。クライマックスのミサイル発射シーンの色彩も美しい。