思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

西住戦車長傳

☆☆☆★

ガルパン』の西住姉妹の元ネタとなれば、『ガルパン』ファンは必見の映画だろう。
秋山優香里の戦車映画講座』で紹介されていたが、詳細は覚えていないので、映画を観た限りの感想を。
戦時中の、半ばプロパガンダなのか、少なくとも戦後の左翼・反戦反日史観に毒されていない、プレーンな日本軍の支那戦地描写が興味深い。舞台が南京攻略の少し後くらいまでなので、対米開戦前あたりに作られたのかな? プロパガンダ目的とは言え、普通に見れば、好戦的な内容とは全く思えない。普通に、とある戦車小隊長の物語で、現在のマンガやアニメで架空の世界の戦闘もので普通に描かれている内容だ。
むしろ、八九式は九七式軽戦車とは違うのだよ! とかあってもいいくらいなのに。私が「日本を戦争に駆り立てる」陸軍上層部なら、そんなのすらないのだから、逆にプロパガンダ不足だとけちをつけるくらいだ(^^;)
まず、驚くのは、リアリティだ。戦後のミニチュア特撮を見慣れた目で見ると、本物の八九式が数台から数十台登場するだけでも一見の価値ありだ。そして敵の砲弾が炸裂するカットなど、まるでドキュメンタリーかと見紛うばかりの迫力だ。音響も、低音が効いているし、機関銃と戦車の重機関銃の違いを分けてあるなど、とにかく戦後の邦画なんかよりはるかにリアル。引きの俯瞰ショットがないのが唯一の残念ポイントだが、逆に、それさえあれば、『シンドラーのリスト』や、『硫黄島からの手紙』なんかにも引けを取らない。