思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ゴッドタウン 裁かれる町

☆☆☆

原題は『GOD'S POCKET』。別に深い意味がある訳でもなく、神田みたいな、たんなる町の名前。
私が邦題をつけるなら、『神に見捨てられた町』か。
した町ものというか、ノワールというか、とにかく出てくるやつは、老若男女問わず、脛に傷もつというのか、悩みとか問題とか、倫理道徳に清廉潔白な人物はひとりもいないのだ。
主人公は三人家族の父だが、息子は弁当代わりの母親の手作りバーガーを食べずに捨てるような半グレ、主人公は三人組で窃盗・転売で得た金を競馬でスってしまうようなダメオヤジ(窃盗とはいえ、仕事してるだけ、ヒモよりはまし、という程度のダメ男)。母親は母親で、死んだ息子の事情を調べに来た、老いたエッセイストと寝るような、貞女ではない。この手の映画でも、普通は、母親だけはまともなんだけど(^^;)
先述のように、息子が映画開始早々、職場の工場でヤンチャしていたところ、老人に諫める意味で殴られてそのまま死亡。
現場検証に来た警察官に、工場の人々は、事故死だと主張。主人公は、葬式の費用が賄えず、行きつけのバーで友人たちからもらったカンパを競馬でスリ、仕事の車を売ろうとするも、事故で大破(それでも半ば脅すように)。金が葬式ができずに置き場に困って、仕事に使う肉屋の冷凍車に入れていた息子の死体が路上に転がり落ちる(^^;)
全体としては、香港ノワールというか、日本の低予算映画、日本映画チャンネルの「月イチ衝撃作」とかでよくありそうな、不条理な社会ものみたいな雰囲気。普通の娯楽映画みたいに誰かに感情移入しようとするとキツイが、そうやって俯瞰から観ていれば大丈夫。

以下ネタバレ

新聞の雇われ老エッセイストも、これまた普通なら警察が事故死として処理した事件を、「探偵」として真相と犯人を突き止めるはずが、重要関係者である被害者の母親と寝てしまうし、そもそもが年一行事に関するエッセイは何年も使い回しだとか、出社もあまりしないダメ人間。二人が寝る事に対する観客の「そんな展開ありえる?」というツッコミへのエクスキューズなのか、母親は爆乳(^^;)
それでも、少年の事件に対するするエッセイを書き上げて紙面に載るが、それが「愛すべき大バカ野郎たち」的なひねった文章だったため、教養というか、リテラシーのないバーの逆にたちには理解されず、袋叩きにされてしまう。
見終えた感覚は、邦画で志賀島かどこかでの愛憎劇を描いた『』みたいだった。