思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

神の一手

☆☆☆★

韓国のマンガが原作なのかな?
デスノート』と『ヒカルの碁』を合わせてノワール仕立てにしたような、というと乱暴すぎるか。
なんと言っても、韓国人キャストを、そっくりの日本人に置き換えて観るのが楽しい。主人公は西島秀俊、昔で言えば山城新伍的なコメディ・リリーフは宮川大輔(大輔花子じゃないほうね)、ラスボスたるヤクザは山本(『シン・ウルトラマン』のメフィラス)とか。
兄の命令でイカサマ碁もやっていたプロ棋士囲碁)の西島秀俊は、イカサマがバレて兄を殺され、自分も刑務所に入るが、そこでケンカの仕方と、独房の隣にいる男から囲碁を学ぶ。
出所した西島は、宮川大輔を始め、最強メンバーを集めて、ヤクザへの復讐を始める。
囲碁映画(マンガ?)ということで、誰も彼もが、特にヤクザが囲碁で白黒つけようとするのはおかしい。
基本はノワールなので、ヤクザのやり口は韓国映画らしいリアルな血のりや特殊メイクで、生々しい。
特に、チームの一人を盲目に設定していることで、石を置く位置をセリフにしやすくしているものの、「ケイマ」とか「コスミ」とかの説明が全くないのは、不親切か。囲碁がうまいわけでもなく、調子の良さと演技力(ハッタリ)を買われてスカウトした宮川大輔囲碁を教えるシーンでも入れて、そこでルールや用語の説明をさらっと入れておいたら良かったのに。

以下ネタバレ

なんとなくだが、全20巻くらいのマンガの、しかも10巻くらいの段階で映画にしたような仕上がり。特に、冒頭に出てきた浮浪児が、ラストまで出てこないとか、ヒロインの立場も、大して活躍せずに終わっている。
純粋に映画としても、ラスボスとのバトルで、彼自身が打つわけではない、というのはまったく盛り上がらない。そもそも、どこにカメラを仕込んで、どこから指示を聞いてるのか、全く分からんし。
盛り上がらないから、最後は格闘でお茶を濁しているし。
格闘といえば、掛けた罰のデコピンで目をつぶしたりするのは、『刃牙』を思わせるバカっぷり(´Д`) あるしゅのヤクザ映画なのに、誰も銃を使わない、というのも奇妙だ。こと我々日本人なら、誰もが囲碁をたしなみ、日本みたいにヤクザでも簡単に銃器をぶっ放せないパラレルワールドのお話、と割り切って見るのが良いかも。
ちなみに、観ているうちに、誰もが気にする人はいなくなるだろうが、「神の一手」は出てきません(^^;)