思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

LAコールドケース

☆☆☆★

原題は『CITY OF LIES』。アメリカの人気黒人ラッパーが銃撃された事件を元にした映画。
実話を元にしたということで、『ゾディアック』みたいな映画かと思いきや、なんとも微妙というか、もどかしい仕上がり。
現在、1997年に起きたこの未解決事件を調べている記者が、引退した刑事(ジョニー・デップ)を訪ね、未だに部屋の壁一面に調べたメモを貼っている彼から、調べた内容を聞き出す。
ネットの感想動画で誰もが言うのが、嫌がる彼に食い下がって、少しずつ話を聞き出すので、彼の調べたことが、ちょっとずつ小出しにされる、すなわち時制が行ったり来たりするのが、煩雑だということ。私的には、それの把握がめんどくさかったものの、混乱するほどではなかったけど。
でも、それをわかりやすく演出するために、文字通り(?)でっぷり腹の出たジョニー・デップが、現役時代はスリムでヒゲもない、とか、わかりやすくして欲しかった。あまりにも差がないのだ。
事件の真相も、どっちかというとどうでもいい方向で締め括られるというか、斜め上の方向に行った感じ。殺人事件を解決するミステリーではなく、よく言えば社会派推理、悪く言えば「解決できないのか!?」というオチ。
また、特に乱闘シーンでも、モキュメンタリーでもないのに、手持ちカメラで、常に画面が揺れているのも個人的なマイナス。
個人的マイナスといえば、ラッパー殺人事件ということと、黒人が多いために、ヒップホップが流れまくる(エンドロールを見ると、20曲前後あるのでは?)のも嫌だった。
本作では、とにかく色んな黒人が出てきて、日本人には区別が難しいし、おまけにある意味では『ブラックホーク・ダウン』以上に、彼らを怪物的に描いているので、なんかもう、黒人を見たら怖くて逃げたくなるレベル(^^;)

以下ネタバレ

殺されたラッパーの所属するレコード会社デス・ロウは、モロにギャングと繋がっていて、そのズブズブっぷりは、前に観た日本映画のそれどころではない。何せ、名前が「法律死すべし」だからねえ。
さらに、容疑者が警官ばかり。さらに、警察署の上層部にまで腐敗・癒着は及んでいる。ジョニーは、それに食いつくが、叶うはずもなく、せっかくジャーナリストが来ても、警察の腐敗をマスコミに公表して、一矢報いるとか、闇のじ闇の実力者を逮捕する、とはいかないのだ。モヤモヤするのも仕方ないだろう。かと言って、ジョニーたちが殺される胸糞ラストでもない。