思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ヴォイジャー

☆☆☆

宇宙船移民もの。試験管ベビーを、生まれてからずっと宇宙ステーション実験して使節みたいな隔離施設内で育て、そのまま世代間宇宙船に乗せる。孫の世代には、目的地の惑星に到着するという計画だ。
ボスとなるのが、ひとりだけ大人(顔は見たことがあったコリン・ファレル)で、それ以外は二十歳前後の若手俳優だけ。予算を宇宙船内外の描写に回せたのか、船内のデザインは機能的かつグラフィック的にも洗練されて(されすぎて?)いるし、外観は影が真っ黒だし、リアル志向。SFファン的にはこれだけでも充分納得。
展開はだいたい読めるし、その範囲内に帰着した感じ。
なお、原題も同じで、オープニング・テロップもなく、エンドロールも地味なインストという硬派な結構だ。

以下ネタバレ

前述のような生まれと育ちなので、それだけでも退屈な船内生活を死ぬまで生き抜けるのかと思いきや、毎日飲む青い液体に、各種の欲求を抑える薬が入っていた。それを見破る人が出てきて、それが主人公。最初は走り回ったり、プロレスごっこをしているだけ。無限に続くかのような廊下を走る主観ショットが良い。もちろん、それを続けたり、そんな人が増えると、レイプや殺人が増えるのは当然予想されること。唯一の大人であり、ネームバリューとしても主役だと思われたコリン・ファレルが中盤にして殺されて映画から退場するのは予想外だったが。
おまけに、武装闘争派ができたり、なんかゾンビ映画か遭難学生ものみたいな展開に。まあ、船員たちも、みんな中二病みたいなもんだから、そうなるか(^^;)
そこまでカオスになる前に、再び青い水を飲もうと誰も言い出すかと思ったが、誰も言わなかったなぁ。
コリンが死ぬ前から、へんな音がする、というのでエイリアンか? というサスペンスになるのだが、それはホントに「枯れ尾花」だった、というオチには脱力させられた。