思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

流浪の月

☆☆☆

なんか「月」というのは、使いやすいというのか、陳腐なモチーフのような気がするなあ。今年公開された(未見だけど)障害者施設襲撃事件を描いた『月』をはじめ、『紙の月』なんてのもあった。
洋画の後で観ると、めちゃくちゃ冗長なのが気になる。映画館か、ながら見でないと、早送りしないと耐えられない(^^;) 会話シーンはそうでもないけど。
本作は、幼女監禁事件の被害者と加害者が、数年後に再会する、という話。設定を聞いても俄には理解できないだろう。が、敢えてその不可解と、社会の反応をテーマにしている。『さがす』なんかに似てるかも。
時間がシャッフルされているが、これは、為にする演出が半分、残りは、世間が真実を知り得ないところを表現しているのが半分、かな。
広瀬すずの子供時代を演じた子役がめちゃ上手かった。
悪くはないけど、『空白』とかのように、見ておくべき作品、という感じはなかったかな。

以下ネタバレ

要は、女の監禁というと、性奴隷、的な短絡思考を誰しもしてしまうが、そうでもはない、という話。
そもそも家出した女の子を保護して、なりゆきで同居することになっただけ。家に帰らなかったのも、家では義父に性的ないたずらをされていたから。おまけに、ペドフィリアではなかった。
その幼女誘拐犯とされた松坂桃李は、クライマックスで、広瀬すずに、自分の裸を見せるのだが、それがヒキ(ロング)かつ逆光気味で分かりにくい。映画レートの問題で映せないのなら、セリフで説明しないといけない。でも、無毛だからか、いちおう移してるんだよねえ。観たときは、腹が凹んでいることもあり、いわゆる子宮のある高さに、イボでもある奇形を観られたくないのかと思った。
オチとしては、単なる冤罪ものになってしまったのが残念。
キス描写が嫌いな私だが、松坂桃李は、小学生の広瀬すず(ではないけど)どころか、大人になった広瀬すず、現在の恋人相手にすらキスしない。実はロリコンではなかった、というオチも含めて、逃げに走ったかな、というところ。これを掘り下げると、全く別の、陰鬱て、『エヴァンゲリオン まごろころを君に』みたいな映画になってしまうけど。