『ルーシー』☆☆☆☆★
台湾が舞台なので、てっきり台湾マフィアかと思いきや、韓国マフィアだと言う。そうか、韓国・フランス合作かと思いきや、韓国は絡んでいない。よくわからない製作体制だが、内容はSFファン必見。
事前情報はほとんどなく、リュック・ベッソン監督作と言うことと、SFである、と言うことくらいだったので、最初は『キス・オブ・ザ・ドラゴン』的なギャング映画かと思った。
ギャングの麻薬運搬に巻き込まれて運び屋を強制させられる一般人女性、と言う導入なのだ。
そのブツがとんでもないものだった、それを下腹部に埋め込まれた、と言うところから悲劇(?)が始まる。
とにかくSFとしては、その日常的な導入から、ラストへのスケールアップ具合がたまらない。隠れた傑作と言っても過言ではないだろう。モーガン・フリーマンが出ているから、最低限の面白さは保証付、と言えるかもしれないけど。
以下ネタバレ
本作は、ざっくり言えば『マトリックス』と『アトミック・ブロンド』を合わせたような『ブラッド・ミュージック』だ。
脳を10%しか使っていないとされる人間が、100%に至るまで、使用量を増やして行くとどうなるか、まあほぼフィクションなんだけど、ちょっとはもしかしたら・・・と思わせる超能力描写が、ギリギリ、サイバーパンクSFとして成立するバランスがうまい。細胞のみならず物質、重力、ネットワークに進入できたり、最後には時空まで超えてしまうんだから。
ルーシーという名前が、実は最初の猿人まで遡って遺伝子を渡していた、というオチも面白い。そこはセックスを描かずに正解だったが、なぜか『ET』オマージュなのは笑えるけど。猿人なら、指を出されたら、摘むんじゃない?
ラストに事実上、神になる、というオチも『まどマギ』っぽくて良い。特にキリスト教圏でこんな映画が作られる、というのがすごい。
2014年 アメリカ&フランス