思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

英雄の条件


☆☆☆

サミュエル・ジャクソンとトミー・リー・ジョーンズ共演。大使役のおっさんは、どこかで見たと悩んでいて、クライマックスの法廷シーンでようやく思い出した。実写版『サンダーバード』の悪訳だ(^^;)
上で「クライマックスの法廷」と書いたが、てっきりほとんどが法廷シーンの裁判映画かと思っていたのに、冒頭にベトナム戦争が描かれ、次に『48時間』や『ブラックホーク・ダウン』ばりのシリアだかどこだかの大使館の救出ミッションが、普通の戦争映画ばりに描かれる。
大使館救出こそが本作のメイン。取り囲むデモ隊の警備員への暴行から始まり、投石、火炎瓶、近隣のビルの屋上からの狙撃と、エスカレート。突入した海兵隊員も死傷者が。大使をヘリで逃した後、激しさを増す攻撃、ついに隊長であるサミュエルは、屋上の狙撃兵ではなく、群衆に向かっての発砲を命じる。残されたのは84人の市民の死体だ。
という世界を駆け巡った事件に対しての隊長の責任を問う軍事法廷が本作のメイン。しかしながら、まだまだ舞台は法廷には移らない(^^;)
サミュエルが弁護士として選んだのが、ベトナム戦争での親友で、いまは除隊しているトミー。依頼を受けた段階では、サミュエルが死刑になるような証言や証拠しかないため、トミーは現地に飛び、捜査をする。そう、本作は、ざっくり言って、サミュエルが主役の「事件編」と、トミーが主役の「捜査&裁判編」の2部構成なのだ。
エンドロール前のクレジットからすると、本作は実在の事件を元にしているらしく、映画的な盛り上がりや、どんでん返しのために、凝った構成にしているのが、ちょっとやり過ぎに感じた。
私なら、「事件のニュース」「トミーの捜査」「裁判開始」「決定的な証拠」「サミュエルが見た戦場(大使救出作戦)の全貌」「消された証拠ビデオに映っていた映像」「判決」という構成にするけどなぁ……。
ミステリー通向けではない、一般向けの映画としては、よくできているんだけど、

以下ネタバレ

証拠ビデオを燃やす、というのは映画的演出で、実際にはいわゆる50年後開示ルール的に、政治的隠蔽として国庫に仕舞い込んだんだろう。
国側の証拠隠滅と偽証は、「偽証罪」に問われなかったことを始め、ムカつくことこの上ないが、一般市民が数十人殺害されたのを命じたのがアメリカ政府であると世界に喧伝されると、国益に反する、という国家としての意向はわからなくはない。
映画として、最初の大使救出ミッションのえ