☆☆★
白黒映画。丹波哲郎主演で、真面目な映画なのに、戦隊ものみたいな忍法演出だったりする、なんかアンバランスな感じ。
透明になって布団をはぐとか、ほんと子供向け番組か！？ というレベルなのだ。
原作は２、３回読んでいるが、逆にそれが故に「こんな話だったっけ？」と混乱した。
『忠臣蔵』なのだが、松の廊下とか、切腹とか、メインとなる部分は字幕で処理されるだけ、という潔さ。視点は忍者・無明綱太郎（丹波哲郎）にある。彼が、くノ一たちを使って、討ち入りを阻止、それも物理的にではなく、精神的に、脱落させる、というところがキモ。
赤穂浪士のメンバー紹介や、討ち入りまでの経緯はほぼ省略しているので、『忠臣蔵』を知らない平成以降の世代には厳しいかも。
ただ、討ち入りに際して犠牲にされた、浪士の妻たちの不遇に目を向けた、フェミニズムに止まらない山田風太郎の弱者視点はしっかり押さえられている。
丹波哲郎のメフィスト的な感じもキャスティングが活きている。
ただ、全体的に真面目な時代劇としての撮影と、先述の忍法の子供だまし的な演出が乖離しているのが残念なところ。
