思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ジャコ萬と鉄

☆☆☆★

伊福部音楽ということは知っていたので、それを目的に観たのだが、オープニングで音楽は佐藤勝となっていたので「あれ?」と思った。もしかして一部だけ伊福部昭が作曲した曲が使われているのか? と思って聞き耳を立てていたのだが、それもなかった。
見終えてから調べたら、本作はリメイク版であり、オリジナルの方が伊福部御大であった。
丹波哲郎高倉健がそれぞれタイトルにある人物を演じている。脚本はあの黒澤明であり、その影響は結構大きく、黒澤映画と言ってもいいのかも。深作欣二監督映画なのだが。キャストを変更しただけで、オリジナルに忠実なのかも。でも、オリジナルも脚本は黒澤だが、監督は別の人なんだけど。
よく言えば『七人の侍』の百姓たちの扱いを前面に出したような、あるいは共産主義的というか。なにしろ、クライマックスは「ストライキのススメ」「企業家は労働者を搾取するな」みたいな展開なのだ。マタギのジャコ萬は、いくらニシン漁業会社の社長に船を取られて復習するためとはいえ、寮に居座って、働きもせずに酒をかっくらっているのだ。やってることはソ連や中国の各会社に共産党員が監督役として居座っているのと一緒やん。おまけに労働者をアジってるし。
それに引っかからなければ、普通に人間ドラマとしてよくできているのが黒澤明の力量なのだろう。何がどう、とはよくわからないけど(^_^;)
健さんの妹夫婦が、どちらも良かった。

1964年 日本